元広島カープ・前田智徳さんインタビュー プロは夢や目標であれ

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まえだ・とものり 1971年生まれ。熊本工高で春1回、夏2回甲子園に出場し、89年ドラフト4位でプロ野球広島に入団。2007年に2千安打を達成して13年に現役引退。通算2188試合に出場して2119安打、295本塁打、1112打点、打率3割2厘。広島市在住。

 プロ野球界屈指の左打者として広島で活躍した前田智徳さん(47)=熊本県玉名市岱明町出身=が帰郷し、6日、熊本市中央区の熊日本社を訪れた。現在はテレビで野球解説者を務める前田さんに、2千安打の礎となった熊本工高時代の練習や球界への思いなどを聞いた。(文・山下友吾、写真・小山真史)

 -熊本工高時代に猛練習したそうですね。

 「選抜甲子園を逃した後の2年冬、室内練習場で後輩を捕まえて投球マシンのカーブをずっと打っていた。ストレートを待って遅い球が来た時に、体を一瞬止めて変化に対応する練習をした。その前にはティーバッティング。ボールを右斜め側から上げてもらって打った。不利だとされている左投手を攻略するために体を開かないように打つ練習。自分で考えて取り組んだ」

 -目指した打撃は。

 「強いスイングでバットの芯でボールを捉えること。ただ強く振ると乱れる。数多く振って体に覚え込ませることが大事。芯で打つために練習では竹バットを使った。練習試合でも竹バットで打席に入ったら、相手から『生意気だ』とやじられたこともある。まずはフルスイングという考え方もあるが、ミートを優先した。当てに行くのとは違う」

 -現役引退して5年。プロ野球の役割をどう考えますか。

 「少年野球に励むみんなの夢や目標であり続けることが大切。OBとして微力ながら、野球教室などで地域を元気にする活動に携わっていきたい」

 -テレビ解説者としても活躍されています。

 「なかなか厳しい。生中継では言葉を選ばなきゃいけない。冷や汗をかいている。ただ熱いゲームになると、自分が打席に立っているイメージで話すこともある」

 -ユニホームを着て現場に復帰してほしいとの声もあるのでは。

 「OBの方に『そろそろ』と言われるけど、着たくなるという感覚はない。今は解説の方が心地いい。ことし7月に藤崎台で開かれたオールスター戦の中継で解説できたのは良かった」

 -広島には熊本工高の後輩の山口翔投手が昨年入団しました。

 「佐々岡真司コーチから『ストレートがいい』と聞いている。いいカーブも投げる。日本一となったソフトバンクも、いいカーブを持つ投手が多い。母校出身の投手はなかなか育っていないので殻を破ってほしい」

 -プロや甲子園を目指す球児に伝えたいことは。

 「自分の目的を持ってやる練習は楽しい。上手になったり、勝利につながったりするから。失敗することが多くてもくじけずに力に変えてほしい」

■活躍伝えた紙面デジタル化  

 熊本日日新聞社は12月下旬、前田智徳さんの高校時代の活躍を伝えた紙面や写真をデジタル化する。県出身プロ野球選手の軌跡をたどった「紙面を彩った火の国球児たち」の第4弾。スマートフォンとパソコンで投稿・購入サイト「note[ノート]」から購読できる。200円。

(2018年12月7日付 熊本日日新聞朝刊掲載)