【DCの街角から】旺盛な消費は続くのか

©株式会社西日本新聞社

入店制限がかかり、買い物客の長い行列ができた人気ブランドのアウトレット店(右側)=11月23日、バージニア州

米国の11月第4木曜日(今年は22日)はサンクスギビングデー(感謝祭)の祝日。家族や親戚、友人たちが集い、健康や友情などに感謝しながら、食卓を囲んで七面鳥料理などの食事を楽しみ、憩いのひとときを過ごす。そしてこの日を境に、クリスマスへ向けた年末商戦が始まる。

商戦は感謝祭翌日の金曜日に行われる大型セール「ブラックフライデー」で幕を開け、週明け月曜日に本格化するインターネット通販のセール「サイバーマンデー」へと続く。取材先に誘われて参加した今年の感謝祭の夕食会でも「今年は何を買うか」が大きな話題になった。私が住むアパートにある各戸宛ての宅配物の保管室は今、サイバーマンデーで購入した商品の箱であふれ返っている。

ブラックフライデー当日、盛況ぶりを見ようと有名ブランドのアウトレット店が並ぶショッピングモールを歩いたが、商品を両手いっぱいに抱えた客が目立ち、旺盛な消費欲を感じさせた。ただ、身動きが取れないほどの混雑はなく、少し拍子抜けした。米調査機関によると、サイバーマンデーは好調だったが、ブラックフライデーの売り上げは前年をやや下回ったという。

☆ ☆

トランプ大統領は国内経済の現状について、失業率の低下などを挙げ「史上最高の好景気だ」と自賛する。「史上最高」は大げさだが、米経済の好調ぶりを否定する人はいない。しかし一方で、個人消費の陰りを含めて「景気は来年にも減速する」との見方が半ば公然と広がっている。

すでに住宅や自動車などの販売不振が伝えられ、自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は国内の一部工場での生産停止を発表。「製造業の復興と雇用増を実現した」と豪語するトランプ氏の主張とは裏腹に、こうした生産調整や一時解雇など負の動きがさまざまな業界で表れ始めている。政権寄りの保守系エコノミストですら「不況に陥るとは思えないが、株価は下がるだろう」と懸念を示す。

好調な経済とそれを支える経済政策が看板のトランプ政権にとって、株価は支持率を左右するバロメーターだ。下落が続けば支持離れに直結しかねない。トランプ氏は「株は上がることも、下がることもある」と強がるだろうが、景気減速への対応を誤り、個人消費が目に見えて冷え込む事態になれば、次期大統領選へ向けて与党内からも「トランプ氏には任せられない」と反旗を翻す動きが出る事態も予想される。年末商戦の動向は、政権の行方を占う指標になるかもしれない。 (田中伸幸)

=2018/12/08付 西日本新聞夕刊=