巨人が敢行する大補強 その裏でチャンス減、正念場となりかねない若手は…

FA権を行使し巨人への移籍した丸佳浩(左)と炭谷銀仁朗【写真:荒川祐史】

FAで丸、炭谷、さらにビヤヌエバ、中島、岩隈が加入

 67勝71敗5分の借金4。2018年、V奪還を目指した巨人の今季残した成績である。12年ぶりに借金を背負ったまま143試合が終わり、球団史上ワーストとなる4年連続のV逸。3位で進んだクライマックスシリーズでも、ファイナルステージで広島に1勝も出来ないままに敗退した。

 またしても屈辱を味わう1年となり、高橋由伸監督は辞任。来季からは、2002年と2003年、そして、2006年から10年間指揮を執った原辰徳監督が3度目の監督に就任し、チームを建て直すことになる。

 3度目の“原体制”となり迎えた今オフ、巨人は例年以上の大補強を敢行している。FA市場で広島からFAとなった丸佳浩外野手、西武からFAとなった炭谷銀仁朗捕手の2人を獲得。パドレスで今季20本塁打を放った大砲クリスチャン・ビヤヌエバ内野手の入団も決まり、さらにはオリックスから自由契約となった中島宏之内野手まで補強した。6日にはマリナーズを退団した岩隈久志投手との契約合意も発表。早くもこのオフで5人目の補強となった。

 V奪還が至上命令となる巨人だけに、4年連続で優勝を逃していれば、大補強も致し方のないところか。とはいえ、昨季までは世代交代を謳って戦力編成を進めてきただけに、この補強は、その若手たちにとっては大きな正念場となりそう。そこで、今オフの大補強によって影響を受けそうな期待の若手に注目してみよう。

高田や大江、大城、岸田、和田らに影響あり?

○投手(岩隈が加入)
 岩隈は右肩の状態が良ければ、もちろん先発で起用となるだろう。菅野智之、山口俊、田口麗斗、メルセデス、ヤングマン(外国人枠はあるが…)らが先発ローテの中心を担うことになりそうで、枠はごくわずか。今季6勝の今村信貴や昨年ドラ1の鍬原拓也、イースタンリーグでタイトルを総ナメにした高田萌生や大江竜聖、そして今年のドラ1高橋優貴といった面々にとっては、なかなかに厳しい状況と言えそうだ。

○捕手(炭谷が加入)
 炭谷の加入で2ないし3枠の1軍捕手枠の1つが埋まる。阿部慎之助を第3の捕手として考えるのであれば、残る1枠を小林誠司、宇佐見真吾、大城卓三の3人で争うことになるか。昨年のドラフトでは2位で岸田行倫、3位で大城と2人の捕手を指名したのだが、炭谷の加入によって、この2人にとっては正念場となりそうだ。

○野手(内野にビヤヌエバ、中島、外野に丸が加入)
 ビヤヌエバはパドレスでは主に三塁を守っていたが、来季はビヤヌエバと岡本和真が、それぞれ一塁、三塁を守ることになるだろう。中島はこの2人とポジションが被るため、右の代打が基本線か。遊撃の坂本勇人は不動で、レギュラーが固まらないのは二塁。ここを吉川尚輝、田中俊太、山本泰寛で争うことになる。

 丸は中堅手として起用されるだろう。両翼には長野久義や亀井義行、陽岱鋼、そしてゲレーロとベテラン、中堅、外国人が顔を揃えている。今季イースタンリーグで打率.296、18本塁打87打点をマークして本塁打王と打点王の2冠に輝いた和田恋や、同じく打率.316で首位打者に輝いた松原聖弥といった期待の若手にとっては、チャンスが減少しかねない状況となるか。(Full-Count編集部)

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