彼が恋したのは、引っ越しに欠かせないあのアイテム…

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第529回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、12月7日に公開された『旅するダンボール』を掘り起こします。

不要なものが、あなたの“大切なもの”に変わります。

皆さんは段ボールに対して、どんなイメージをお持ちですか? やはり、荷物を梱包して運んだり、人に物を送ったりするときの“入れ物”というイメージでしょうか。

段ボールは軽くて丈夫、多少の防水力もあり、何よりも低コスト。最近では物流現場での利用だけでなく、災害時の避難所では被災者の健康や生活空間を守るために利用できる資材としても注目を集めています。そんな段ボールに、“アート”の観点から魅せられた人物がいることをご存知でしょうか。

彼の名は、島津冬樹。いま世界が熱視線をおくる、話題の段ボールアーティストです。

自らを“段ボールピッカー”と呼ぶ彼は、世界30カ国の街角で捨てられた段ボールを拾い集める旅を続けること8年。それらはカラフルな色合いのものだったり、使い古されて独自の風合いがあるものだったり、その表情は様々。しかし、誰にも見向きもされないような段ボールを、島津さんは、デザイン、機能性を兼ね備えた段ボール財布に生まれ変わらせてしまうのです。

彼が作る財布は、材料が段ボールだとは思えないほど、ポップでオシャレ。最近では、国内外での展示やワークショップも開催。リサイクルや再利用という概念のさらに上をいく、新たな価値と有用性を生み出す“アップサイクル”の可能性を伝えています。

「段ボールが大好き!」という、少年のように澄んだ心を持つ島津さんと、ある段ボールとの出会いが、映画『旅する段ボール』の始まり。ある日、偶然見つけた、徳之島産のジャガイモの段ボール。その段ボールに様々な立場で関わって来た人々との温かい交流を、3年にわたって密着したドキュメンタリー映画です。

社会への問題提起を主題としているのではなく、島津さんのひたむきな想いと、内に秘めているワクワクやドキドキ感が映し出しされています。

愛嬌あるポテトのキャラクターが描かれた段ボールと島津さんとのつながりは、日本を飛び出し、世界へ。そもそも、私たちの身の回りにある段ボールをデザインしたのはどんな人? 段ボールって、どうやって作られているの???

たかが段ボール、されど段ボール。ひとつの段ボールに、これほどまでの夢とロマンが秘められているとは。思いもよらぬ人間ドラマに、あなたもきっと驚かされることでしょう。

旅するダンボール
2018年12月7日(金)からYEBISU GARDEN CINEMA、新宿ピカデリーほか全国順次公開
監督・撮影:岡島龍介
出演:島津冬樹
ナレーション:マイケル・キダ
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公式サイト http://carton-movie.com/

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