36歳貯金500万。子どもが私立高校入学で急に家計が苦しくなりました

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皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、お子さんの私立高校入学で家計が苦しくなったという36歳主婦の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします

夫の扶養から外れても正社員を目指すべきでしょうか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、上のお子さんの私立高校入学で、急に家計が苦しくなったという36歳の主婦の方。正社員として働くことも検討しているが、夫の扶養から外れることに不安もあるといいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

クッキーさん(仮名)

女性/パート/36歳

関東/持ち家・マンション

家族構成

夫(会社員/41歳)、子ども2人(高校 1年、小学5年)

相談内容

上の子どもが私立高校に通い始めてから、毎月の生活が厳しくなってきました。運動部に入り突然の出費もあり、足りない時は貯金から使っています。本人は大学進学を考えており、もしかしたら私立大にもなりそうです。今からお金が出ていては、下の子どもの進学、自分たちの老後も不安です。今は扶養内(130万以内)ですが、そろそろ私も正社員への転職を考えています。ただ家事両立、税金面を考えると扶養から抜けず、今の現状を維持する方がいいのか? 今後のことを考えて扶養から抜けるべきか?(抜けたら旦那の給料に影響があるのか?) どうしたら生活に余裕がもてるのか教えて頂きたいです。

それと、先日セミナーに参加した際、資産運用で変額個人年金保険(確定年金15年)を勧められました。iDeCoやNlSAも気になりますが、投資のリスクを考えると前に進めません。4年後には保険積み立てが終了するので、運用で何かよい商品があれば教えて頂きたいです。長くなりましたがアドバイスよろしくお願い致します。

家計収支データ

相談者「クッキー」さんの家計収支データ

家計収支データ補足

(1)ボーナスの使い途について

固定資産税13万円、クルマの維持費3万5000円、生活費の補てん7万円、残りは貯蓄

(2)加入保険について

[夫]

・医療保険(終身保障終身払い、入院5000円、他に先進医療特約など)=毎月の保険料2073円

・収入保障保険(保険期間60歳、月額13万円)=毎月の保険料4433円

・低解約型終身保険(死亡保障420万円、払込み期間10年、終了時の解約返戻金150万円)=毎月の保険料2万735円

・養老保険(49歳満期、死亡保障1000万円、満期金不明)=※保険料は給与天引き

[妻]

・医療保険(終身保障終身払い、入院5000円、他に先進医療特約など)=毎月の保険料1843円

・低解約型終身保険(死亡保障200万円、現在の解約返戻金100万円)=一括払い済み

・共済(病気死亡500万円、保険期間10年)=毎月の保険料850円

[上の子ども]

・子ども保険(死亡保障、医療保障、個人賠償責任保障など)=毎月の保険料4000円

・養老保険(16歳満期、満期金110万円)=一括払い済み

(3)住宅ローンとその他コストについて

・現在の築年数 13年

・ローン終了年 2033年10月

・現在のローン残高  1600万円

・現在の金利 変動1.075%

・過去に4回繰上返済あり

・固定資産税額(年額)13万円

(4)教育費内訳

高校費用6万円、小学校費用7500円、習い事1万2500円

(5)クッキーさんの働き方について

正社員となった場合、年収で250万~300万円を予定。

(6)定年と退職金について

ご主人の定年は65歳。再雇用の制度あり。

退職金制度があるが、金額は不明。

(7)お子さんの進路について

下のお子さんは高校から私立に入学する可能性あり。

FP深野康彦の3つのアドバイス

アドバイス1 扶養を外れてもフルタイム勤務を目指す

アドバイス2 貯蓄ペース維持で老後にも十分備えられる

アドバイス3 保険商品で増やす必要性はない

アドバイス1 扶養を外れてもフルタイム勤務を目指す

まず、クッキーさんの働き方ですが、現在の家計を改善するためには、一日でも早く正社員になることを強くお勧めします。年収として250万~300万円を想定されているとのこと。そうなると、ご主人の扶養から外れ、本人負担の社会保険料や税金が発生しますが、収入を低く見積もって額面で250万円としても、手取り額は200万円程度。月額で16万7000円です。扶養の範囲で働くより、はるかに収入は高いことがわかります。

しかも、厚生年金加入は公的年金の受給額アップになりますから、老後資金を上積みできます。また、ご主人の勤務先から扶養手当が出ているとしても、結果的にフルタイム勤務の方が世帯収入は高くなるはずです。ただし、クッキーさんも心配されているように、パートをしている今より、当然仕事に時間を取られます。家事については、今以上にご主人、そしてお子さんの協力も必要になるでしょう。そこは上手に家族で助け合ってください。

アドバイス2 貯蓄ペース維持で老後にも十分備えられる

では、実際にクッキーさんがフルタイム勤務となった場合、どう家計は改善するでしょうか。現状は、貯蓄性のある保険を考慮しなければ、貯蓄としてはボーナスからのみで年間40万~50万円といったところ。仮にクッキーさんの年収が手取り額で200万円になったとすれば、月額で世帯収入は7万円アップですから、年間84万円。それを全額貯蓄できたとして、年間130万円の貯蓄ペースとなります。

今後、児童手当の支給がなくなったり、支払い保険料が下がったりしますが、基本的にこの貯蓄ペースが維持できたとすれば、ご主人が定年となる65歳までの24年間で3120万円。今ある貯蓄と合わせて3610万円貯まる計算になります。

その間に発生する大きな支出として教育費があります。上のお子さんに500万円、下のお子さんに1000万円かかったとすれば、計1500万円。この費用を貯蓄等から捻出するわけですが、先の試算ですでに、家計支出に月8万円の教育費を乗せていますから、それが24年間で2300万円。結果的に、実際に大学まで教育費がかかっても、5000万円程度が残ることになります(ただし、自宅通学ができない大学に入学の場合、別途、生活費=仕送り費用が発生)。

さらに、保険の満期金やご夫婦の退職金等も含めれば、6000万円程度の老後資金が用意できると考えられます。途中、クルマの買い替えや自宅リフォームもあるでしょうが、それを考慮しても、老後になって資金的に大きく困ることはないはずです。また、何度か繰上返済をして、早めに住宅ローンを完済するのも有効だと思います。

アドバイス3 保険商品で増やす必要性はない

ただし、この試算はあくまで試算です。24年間、貯蓄ペースを崩さないという前提条件があっての結果です。つまり、貯蓄を継続させることがとても重要となります。したがって、途中ストレスを感じたら、貯蓄ペースが一時的に落ちても、家族旅行など支出することで上手に解消してください。そして、夫婦とも元気で働けるよう、健康に日頃から留意しましょう。

最後に投資について。保険商品で資産を作るメリットは、強制的に貯められる点。しかし、クッキーさんは基本的に貯蓄も家計管理も十分できる方なので、あえて保険コストがかかる保険商品に頼る必要はありません。「投資のリスクが不安」と言われますが、変額保険に加入する時点でそれは投資です。

教育資金は元本保証の商品で用意するのが原則ですから、それ以外の余裕資金の部分は、一部投資してもいいと思います。iDeCoなら掛け金が全額所得控除になりますから、例えばご主人が月2万3000円(勤務先に企業年金等の制度がない場合の上限額)掛けたとして、iDeCo口座の維持管理コストを差し引いても、年間4万円程度の税金が戻ってきます。実際に金融機関が用意するiDeCo用の商品には、投資信託だけでなく元本保証のものもありますので、リスクを避けたいならそれを選べばいいでしょう。途中、商品はスイッチングも可能です。

相談者「クッキー」さんから寄せられた感想

アドバイスありがとうございました。この貯蓄ペース維持で老後にも備えられると分かり、ひとまず安心しました。健康でなければ生活も維持できないので、転職も焦らず見つけたいと思います。また、貯めるだけにならないように、お金の使い道を考えながら生活を楽しもうと思いました。投資の知識もすくないので、勉強しながら挑戦しようかと思います。気持ちも前向きになれたので、本当にありがとうございました。

教えてくれたのは……

深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武

(文:あるじゃん 編集部)