「まるで旅行気分」 ホテルでゆったりとデイサービス

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 ホテルでゆったりとデイサービス-。お年寄りが、まるで日帰り旅行のような気分で通所介護(デイサービス)を受けられる施設があると聞いた。場所は長崎市の高台にあるホテルで、10年以上続いているそうだ。全国的にも珍しく、専門家は「介護が身近になる取り組み」と注目する。いつか自分や家族もお世話になるかもしれない。そんな気持ちで取材に向かった。
 ホテルチェーンや飲食店などを展開する長崎スカイホテル(長崎市)は2004年、稲佐山中腹にある長崎ブルースカイホテルにデイサービスセンターを開設。介護福祉士や看護師らを新たに配置した。同社介護事業部相談員の小森朗由さん(39)は「宿泊客がチェックアウトした後の施設の有効活用と、地域のお年寄りに喜んでもらうための取り組みです」と語る。評判は上々で、8年後の12年にはホテル長崎(同市立山2丁目)でもデイサービスを始めた。利用者の親戚らが宿泊や宴会でホテルを利用するケースもあり、相乗効果も生まれているようだ。
 いずれのホテルも、長崎市街地を一望できる最高のロケーション。利用者はゆっくりと足を伸ばせる大浴場を満喫し、ホテルの雰囲気を楽しんでいた。ホテル長崎に週1度通う日高律子さん(85)は「ホテルだからお風呂も大きくて気持ちいい。心も体も栄養調整しているの」とうれしそうだった。
 ホテルとデイサービスの従業員は別々。ロビーや大浴場などはホテルの設備を使うが、食事や機能訓練、レクリエーションなどは専用スペースを設けている。ホテル長崎の介護福祉士、木田健太さん(35)は「サービス内容は一般のデイサービスと変わらないが、ホテルにやって来るので『まるで旅行気分』と喜ぶ人も。こちらも、おもてなしの心を大切にしている」と話す。
 県長寿社会課によると、県内のデイサービス事業所数は602。廃業したスポーツ施設や旅館を改築している例はあるが、営業中のホテルを活用するケースは「聞いたことがない」としている。
 全国約3千のデイサービス事業所が加盟する「日本デイサービス協会」の斉藤正行理事長(40)は「全国的に珍しい取り組み。既存の設備を利用できるので効率的だし、開かれた場所で実施することで市民に介護を身近に感じてもらえる。こうした施設が増え、当事者や家族だけでなく、みんなが高齢化社会について考えるきっかけになれば」と期待を込めた。

食事を楽しむ利用者=長崎市、ホテル長崎
ホテルからの眺めを楽しむ利用者=ホテル長崎