空自、通知せず島で年100回訓練 渡嘉敷村「聞いていない」 「永久承諾」主張、文書は不明

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 沖縄県渡嘉敷村の前島で、航空自衛隊那覇基地が「永久承諾」という取り決めがあるとして、捜索救出などの訓練を村に通知せず実施していることが8日までに分かった。同基地は2000年11月18日に渡嘉敷村と訓練実施に関する「永久承諾」を結んだとしており、これに基づいた訓練を年間100回以上、前島で行っている。だが同基地は「永久承諾」について記した文書の所在を「不明」としており、村は取り決めそのものを「聞いたことがない」とする。識者は「永久承諾」について「過去に一度も聞いたことがない。存在するなら根拠として文書を明示すべき」と指摘する。

 空自那覇基地によると、県内で同様の取り決めをしているのは前島だけという。防衛省の幕僚幹部は本紙取材に「各自治体ごとの考え方もあり、どんな形で取り決めをするかは決まっていない」とし、空自那覇基地と渡嘉敷村が「永久承諾」の取り決めを交わした可能性については否定しなかった。だが、「永久承諾」を明記した文書の存在や、取り決めそのものを把握していないとした。

 空自那覇基地は「永久承諾」で認められている訓練について(1)捜索救出訓練(2)空輸隊と救難隊ヘリの離着陸訓練(3)人員物資の空輸訓練―の三つを上げる。訓練区域は「集落を除く島全体」、訓練ごとの村への通知は必要ないとし、年に1度、村総務課に電話で「永久承諾」による訓練を継続すると連絡しているという。

 空自那覇基地は「永久承諾」の内容を口頭で引き継いでいて、村との取り決めも「書面で行われたのか、口頭で行われたのか分からない」とし、取り決めの正式名称も不明だという。

 村は「永久承諾」以外の訓練については、その都度連絡を受けて許可している。しかし、「永久承諾」に基づく訓練については「永久承諾」という言葉すら聞いたことがないとする。

 村総務課は「(11月)26日ごろに空自から連絡を受けて初めて知った。文書を探しているが確認できていない。存在するのかも分からない」と話す。年1度の連絡についても「永久承諾」に関する連絡と認識していないという。取り決めが交わされたとされる2000年に村長だった小嶺安雄氏は「そんな取り決めをした覚えはない。契約したなら文書が双方に残っているはずだ。議会に報告せず、前島郷友会の承諾も得ずに契約するわけがない」と否定した。

 座間味秀勝村長は取材に「原本が見つからない。(取り決めを)交わしていたのか分からない」と話す。村総務課は「詳細が分かるまで訓練を止めるかどうか、今後協議する予定だ」とした。

 (嘉数陽)