特撮からNHK大河まで幅広いドラマを手掛けた長崎県諫早市出身の脚本家市川森一氏は、郷土愛が人一倍強かった

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特撮からNHK大河まで幅広いドラマを手掛けた長崎県諫早市出身の脚本家市川森一氏は、郷土愛が人一倍強かった。故郷を舞台に数々の作品を書いただけでなく、県立博物館の名誉館長から市民講座の講師まで快く引き受けた。あまりの“気前よさ”に県政界の重鎮が「知事選に出るつもりか」と心配し、探りを入れたこともあったそうだ。

その郷土愛は江戸時代まで独自の光を放った長崎の文化が失われることへの憤りでもあった。晩年に心を砕いたのが移転計画が浮上した県庁の跡地活用。2009年に検討委員会委員に就任すると独自にリポートをまとめ、ここにイエズス会教会や長崎奉行所役所があった歴史を土台に「未来図」を描くよう求めた。

市川氏死去から10日で7年。長崎県、市は主導権を巡る駆け引きを経て、跡地に広場やホールを建設する構想を発表した。希代の脚本家ならばどんなドラマの舞台を用意しただろう。 (山本敦文)

=2018/12/09付 西日本新聞朝刊=