災害の経験防災に生かす 熊本市で全国被災地語り部シンポ 高齢化、人口減…課題を議論 [熊本県]

©株式会社西日本新聞社

大規模災害の経験を共有し防災や減災につなげようと各地の語り部や学識者が語り合う「第4回全国被災地語り部国際シンポジウムin熊本」(語り部団体などでつくる実行委員会主催)が8日、熊本市で開幕した。初日はパネル討論会や分科会があり、熊本地震や東日本大震災、長崎県の雲仙・普賢岳噴火災害の体験を基に、語り部の高齢化や被災地の人口減少などについて議論を交わした。

討論会に先立ち、井上学・熊本市危機管理監が講演。熊本地震後に避難所の食料が不足し、支援物資も交通渋滞ですぐに届かなかったことを振り返り「災害直後は市民や地域の協力が必要。各家庭で7日分の食料備蓄を」と呼び掛けた。

討論会では、宮城県石巻市の観光ボランティア協会の高城禎彦さんが「東日本大震災から7年9カ月になり、団体客が右肩下がりで減っている。若い人がほとんど住んでない地区もある」と現状を説明。昨年から街歩きの行事をインターネットでPRしたり、海外からの観光客船受け入れを始めたりするなど、交流人口の増加に取り組んでいることを紹介した。

雲仙岳災害記念館(長崎県島原市)の語り部、長谷川重雄さんは「災害から28年になり記憶が薄れ、今は楽しく語り部をしている」と、被災から立ち直ってきた心境を語った。一方、記念館の語り部が減り、平均年齢75歳と高齢化していることを課題に挙げた。

台湾の博物館「921地震教育園区」で日本人向け解説員を務める黄嘉慧さんは、2400人超が亡くなった1999年の台湾中部大地震をきっかけとして、政府が子どもへの防災教育や遺構の保存に力を入れていることを取り上げた。

熊本日日新聞の毛利聖一論説委員は、東海大の学生が阿蘇キャンパスの被災を後輩に伝える動きがあることに触れ「厳しい現状はあるが、若い人に期待したい」とまとめた。

9、10日は、大会参加者が益城町の仮設団地や雲仙岳災害記念館などを巡る。

=2018/12/09付 西日本新聞朝刊=