遊休農地に漆の苗木植樹を 二戸市、増産目指し呼び掛け

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遊休農地に植樹された漆の苗木=二戸市浄法寺町

 国内随一の漆の産地岩手県二戸市が、市内の農家に遊休農地を利用した漆の苗木の植樹を呼び掛けている。漆が採取できるまで約15年育てると、市が1本2000円程度で買い取る仕組みだ。耕作放棄地の拡大防止策としても期待されている。

 市は、農地面積に応じて100本を上限に苗木を無償提供。上限を超える分は苗木代の半額を補助する。農地の所有者は、木が育つまで下草刈りや病害虫の防除を行う。既に市内の農家約50戸が農地計約23ヘクタールで漆の木を育てたいと申し出ているという。

 漆の木の世話は、野菜栽培などに比べて手間がかからない。漆の木は1度樹液を採ると伐採するが、ひこばえから樹木へと成長すれば再び市が購入する。

 11月には市内の健康食品製造「夢実耕望(ゆめみこうぼう)」が、所有する農地約6アールに苗木50本を植えた。将来は30アールに拡大する計画だ。社長の久保田史(ふみと)さん(44)は「野菜の生産拠点を移転し、空いた畑を活用した。地域産業に貢献したい」と話す。

 文化庁は国内の文化財修復に必要な漆を年間2.2トンと試算。二戸市の2017年度生産量は約1トンで、市漆産業課の担当者は「2トンを安定供給できるよう取り組む。農地で育った木は、漆かき職人の育成にも活用したい」と説明している。