河北春秋(12/9):あまりにひどい物言いだ。福島県など日本産…

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 あまりにひどい物言いだ。福島県など日本産の食品輸入を巡り、台湾で先月末に行われた住民投票。規制緩和を目指す与党攻撃のため、野党は福島産食品を「核食」と呼んだという。放射性物質に汚染されているとの印象操作が奏功し、輸入規制継続が高得票率で決まった▼福島産食品は科学的に安全性が証明されている。政争の具にされたとはいえ、東京電力福島第1原発事故が世界に与えた衝撃の大きさと負のイメージの根深さに改めて見せつけられた▼事故の記憶と廃炉の現状を発信する「廃炉資料館」が先日、福島県富岡町に開館した。「反省と教訓」のコーナーでは「安全意識、技術力、対話力が不足していた」と背景を分析。収束作業に当たった社員らの証言も紹介する。事故に向き合い、第1原発の現状を分かりやすく伝えようという狙いは読み取れた▼ただ、その足元はどうか。使用済み核燃料搬出では初歩的なトラブルが頻発。水素爆発した建屋の写真に「工場萌(も)え」と検索用キーワードを付けて写真共有アプリに投稿した不祥事も記憶に新しい▼事故発生から8年が近づき、今後は技術的に最も困難な燃料デブリの取り出しが待ち受ける。地域の復興に向けた誠実な態度と着実な廃炉進展がなければ負のレッテルは張り付いたままだ。(2018.12.9)