堀井新太:鈴木亮平の大きな背中を追い続けた1年 西郷どんは「かけがえのない期間」

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NHKの大河ドラマ「西郷どん」に村田新八役で出演している堀井新太さん (C)NHK

 俳優の鈴木亮平さん主演のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」に、元薩摩藩士の村田新八役で出演している堀井新太さん。ドラマには第2回から登場し、「精忠組」メンバーの“末っ子”として、役と同様に鈴木さん、瑛太さんら“兄”の背中を追い続けた1年を振り返り、「かけがえのない期間でしたね」と語る。村田新八として体が勝手に動くくらい「考えなくていい境地」に達したという堀井さんに、最終盤を迎えたドラマへの思いを語ってもらった。

 ◇死の間際まで西郷に付き添う村田新八

 村田新八は、同じ郷中(町内)に育った西郷を兄と慕い、常に同行した弟分。西郷の2度目の島流しでは、新八も喜界島に流刑となった。大久保利通(瑛太さん)にも明治新政府の担い手として期待をかけられ、岩倉具視欧米視察団にも参加するが、西郷と共に下野し、死の間際まで西郷に付き添うことになる……。

 新八の帰郷を大久保も大変惜しんだという逸話も残るほど、西郷からはもちろん、大久保からも信頼を置かれていた新八という人物を端的に言い表したのが、第41回「新しき国へ」(11月4日放送)での西郷の言葉。「明るくはらわたまで清い」と評していた。堀井さんは「あの時は本当にうれしかったですね」と自分のことのように喜ぶ。

 「新八は天子様(天皇)のお守り番を任されるんですけど、自分でいいのかって自信はなかった。でも西郷さんから、お前がそういう心まで清い人間だから選んだんだって言われた時に、初めて認めてもらえたって感じました。いつもは弟扱いだったのが、大人の一人の人間として、今の政府にはお前が必要だって言われた気がして、とってもうれしかったです」と笑顔を見せる。

 ◇西南戦争は「起こってはいけないもの」 正解がない中で…

 そんな新八を「常に西郷隆盛の一番の味方でありたいと思いながら演じてきた」と明かす堀井さんだからこそ、西南戦争に突入せざるを得なかった当時の状況や西郷と大久保のすれ違いには複雑な思いを抱いているようだ。「この戦争は起こってはいけないものって、ずっと思いながら参加してきたんですけど……。西郷さんも引くに引けなくなってしまったというか。だからこそ、すごい悲しいですね」としんみり。

 「私学校の血気盛んな連中に比べると、僕は西郷さんの思いがすごく分かるし、大久保さんの本当の気持ちも何となく感じ取ることができるんですよ、お芝居をしながら。そういうのもあって、うかつなことは言えなくて。西郷さんがほほ笑みながら『やるしかなか』ってなった時に『この人が一番、悲しいんだな』って思ったし、僕自身も正解がない中でやっている感じはしました」と振り返る。

 ◇鈴木亮平だけじゃない? 北村有起哉から学んだ「記号にならない意地」

 改めて、西南戦争における西郷と大久保の関係について「どうにかして話し合いで済まなかったのかって、今でもずっと考えていますし、つらいですね」と心情を明かす堀井さん。ドラマは幸せな結末を迎えるわけではないが、それでも新八として過ごした日々は「かけがえのない期間」だったことは間違いない。堀井さんも「すごい貴重な経験をさせてもらったなって思っています」と認めている。

 「大河ドラマって日本一長いドラマじゃないですか。素晴らしい先輩の役者さんが大勢いらっしゃって。その人たちの背中を1年、特に(鈴木)亮平さんの大きな背中を見てきた感じで。ストイックさや気配り、思いやりや優しさ、なかなかできるものじゃないですし、そういった中で僕も体が勝手に動くくらい、(役として)考えなくていい境地に達することができた。それは役者にとって一番、大事なことなんじゃないかって思いますし、心と心で通じ合う、じゃないですけど、最初は考えながらやっていたことが考えずにできるようになったし、そういった時こそすごいものが生まれるんだなって」

 堀井さんは「これは(大山綱良役の)北村有起哉さんから学んだんですけど、有起哉さんはワンシーンでいろいろなことをやるんですね。あの人の“記号にならない意地”というか、後ろでわちゃわちゃしていても、何か爪痕を残そうとする。それって役者にとってすごく大事なことで、とても勉強になりましたね。だからこの先が楽しみ。この経験を次の現場に持っていけるっていうのが、今一番の楽しみですね」と目を輝かせていた。

 「西郷どん」は大河ドラマ57作目で、西郷隆盛の生涯を描いている。NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。