米軍ずさんな銃管理 「一人で歩くの怖い」 沖縄・読谷村長抗議へ

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 拳銃を所持した脱走兵が逮捕された沖縄県読谷村宇座の集落は、観光施設やホテルが立ち並ぶ一帯から直線距離で約500メートル。海が望め、サトウキビ畑に囲まれた風光明媚な地域で、米軍関係者の住宅も目立つ。脱走兵が逮捕された6日午後6時ごろは、複数の住民が集落内で米軍のパトカーや米軍関係者らの姿を目撃していた。(中部報道部・篠原知恵)

 「大雨で暗くなる中、見慣れない米軍パトカーが赤色灯をつけずに何度もウロウロしているから不思議だった」

 銃を持った脱走兵が付近にいるとはつゆ知らず、当時、自宅前で迎えの車を待っていたという女性(65)は言葉を失った。

 自宅向かいの宇座農村公園前に見慣れない車両が複数台停まっているのを目撃した別の女性(70)も「軍人と日本人が交通事故を起こしたのかと思った」と振り返る。物々しい様子に、関係者らしき人物に「何があったか」を聞いた住民もいたが、教えてもらえなかったという。公園はいつも地域の子どもが野球練習に励んだり、高齢者がソフトボールを楽しんだりする場所。女性も日課のウオーキングで足を運ぶが「1人で歩くのが怖くなった」と話す。

 女性の夫(75)によると数年前にも、米軍関係者の住宅に招かれた地域住民が銃を発見し、軍警察が回収する問題になったことがあったという。夫は「30年以上住んでいるが、米軍関係の居住者が増えたと感じる。向かいの米軍住宅に住んでいる人の顔さえ分からなく、不安が増している」と声を落とした。

 宇座集落の一帯は、米軍に強制接収され、1970年代に返還された。約30年前から戦前に住んでいた人たちも戻りつつあり、宇座自治会の山内高雄会長(64)によると、集落内の約180世帯中、米軍関係者が30~50世帯ほどを占める。山内会長は「基地がある故の弊害で憤りを感じる。隣近所の米軍関係者と良い付き合いをしたくとも、こういう事件があると警戒せざるを得ない」と語った。

読谷村長、米軍に抗議へ

 【読谷】拳銃を所持した米軍嘉手納基地所属の脱走兵が読谷村内で米軍に逮捕されたのを受け、石嶺傳實村長は8日、「またしても、過重な基地負担があるが故の事件・事故が起き非常に憤っている。村議会とも連携し、週明けにも米軍当局に抗議する」と述べた。

 再発防止のほか「日米地位協定を抜本的に改定しない限り事件・事故は続く」として地位協定の改定も求める考えという。

武器管理のずさんさ露呈 前泊博盛・沖国大教授

 今回の事件は、拳銃を所持している兵士を基地の外に出してしまった、在沖米軍のずさんな管理能力が露呈した。武器を持っているという点で兵士は「凶器」にもなり得る。殺人などの重大犯罪につながった恐れもあり、県民の命が脅かされた。県警は速やかに身柄を確保できるよう積極的に逮捕権を行使すべきだった。

 ただ、そもそも日本ではイタリアやドイツとは違い、日米地位協定上、基地外での米兵の犯罪に関して主体的に捜査できない現状がある。脱走米兵に関しても、原則として米軍側への引き渡し義務がある。

 今回のような事件が起きた際に、日米間での情報の共有体制が整っていないのも問題だ。公務外であっても「後出しじゃんけん」のように、時間がたった後に公務中として処理するケースも多い。日本側も追認してきた経緯がある。主権国家として、日本側の毅然(きぜん)とした対応が求められる。

 

米軍関係車両が複数台目撃された場所