【コラム・天風録】鍋と国会

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 きのうは、食卓で鍋を囲んだお宅も多かろう。冷え込みに加え、白菜が農家に申し訳ないくらい安い。行きつけの八百屋さんの話では「暖冬で収穫が2、3週間くらい前倒し」という。とすれば、ゆくゆくは品不足も気遣われる▲鍋になぞらえれば、今国会は波形の板で仕切られた中国風の火鍋だろうか。毎度のことながら政府、与党と野党とが法案審議で相いれない。「宿題は政省令で後日決める」闇鍋式では、振る舞われる国民もたまらない▲とりわけ今回は入管難民法改正案でこじれ、成立が未明までもつれ込んだ。外国人労働者に扉を開く、新たな「寄せ鍋」社会づくりの一石である。あまりにも突貫工事の審議には、与党にくみした日本維新の会の片山虎之助共同代表でさえ「生煮え」とくぎを刺した▲寄せ鍋の取り合わせには、あくの強い具や味の染みにくい物は向かない。そんなときは、いったん煮ておく下ごしらえが肝心だと聞く。議論も、手間暇を惜しんでの後悔など許されまい▲ごみ出しなど生活習慣の違いには、すり合わせが利くだろう。としても民族や宗教、食文化といった「仕切り板」はさて、どうか。乗り越えるには恐らく、知恵も時間も要る。