今年の一皿(12月9日)

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 福島市のスーパーで缶詰コーナーをのぞいた。サバの水煮が消えていた。そのまま食べるのにも、料理に使うのにも勝手がいい。「健康効果が期待できる」とテレビや雑誌で盛んに取り上げられたためとみられる。人気は今も続く。

 「ぐるなび総研」(東京都)は毎年、一年間の日本の世相を映して象徴する「今年の一皿」を選ぶ。二〇一八(平成三十)年は「鯖[さば]」だった。受賞理由の一つにサバ缶ブームを挙げた。ぐるなび総研は「その価値が改めて広く認識された」と評する。

 中小から大手までの多くのメーカーが製造する。産地や原料、容器のデザインにこだわる「プレミアム缶」や「おしゃれ缶」も登場した。食べ比べたり、見比べたりするのが楽しい。この一年は、全国各地で地震や豪雨などの災害が相次いだ。備蓄しやすく、おいしい非常食としても注目が集まった。

 近年は、なじみが深い魚の不漁が目立つ。サンマは昨年、激減した。全国漁業協同組合連合会によると、今年のサバの水揚げは好調だという。水産物は常に安定して食べられるとは限らない。本県の沿岸漁業の復興は道半ばにある。小さな缶詰が海の恵みのありがたみを教えてくれている。