フランス人で初、普化正宗尺八の皆伝 滋賀のセバスチャンさん

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長等神社前で尺八を手にするセバスチャンさん。修験道にも関心が高く大峰山も訪れた(大津市三井寺町)

 フランス人、ムートン・セバスチャンさん(38)。10月末に普化(ふけ)正宗尺八の総本山である明暗(みょうあん)寺(京都市東山区)でフランス人では初めて皆伝を受けた。明暗尺八は宗教尺八と呼ばれ、尺八を吹くことを「吹禅(すいぜん)」といい、精神修行ととらえる。「瞑想(めいそう)のように心が静かで広くなる」。その奥深さに魅了された。

 さまざまな縁を重ね、欧州から極東へ、尺八にたどり着いた。フランス東部のクルゼイユ出身。スイス国境近くのアルプスに抱かれた地に育ち、自然は身近だった。

 チベット仏教とヒマラヤ山脈に引かれて旅したネパールで2009年に妻定國玲奈さん(39)と出会い、初めて来日した。京都の演奏会で聞いた尺八の音が「ずっと心にあった」と振り返る。

 結婚後、大津市に移住。13年に高島市の「八ツ淵の滝」に向かう際、日本画家石原貴暉さん(69)=伏見区=と偶然同じバスに乗り合わせた。道すがら、仏教や神道、自然について語り合う中で石原さんが尺八をしていると知り、後日教えを請うた。

 日本人より熱心、と石原さんが驚くほど上達は早かった。フランス語講師をしながら月3回、指導を受けた。「最初は音が出なかったが、吹けるようになるとどんどん気持ちよくなった」と笑う。

 神社や山、水辺で練習を重ね、入門から初伝、中伝などを経て皆伝に。松月(しょうげつ)という竹号(ちくごう)を授かり、指導できる導主の立場となった。「まだまだ練習したい。将来は日本かフランスで道場を開き、尺八を世界に広めたい」と話す。大津市三井寺町。