多重波長で捉えた「はくちょう座A」の不気味に見える構造

この画像は、壮大で活発な銀河である「はくちょう座A」を様々な電磁波で捉えたものです。「はくちょう座A」は、地球から6000万光年離れた最も近い電波銀河です。

青色に表示されているデータはX線によるもので、地球を周回するチャンドラX線天文衛星が撮影しています。広域に渡り青く広がるX線源であることが分かりますが、実際に放出されているのは低エネルギー帯の波長電波であることも分かっています。

また、両端に伸びる赤色のデータは放射光によるもので、天の川銀河の中心にあるとされる超巨大ブラックホールから発生さられた粒子のジェットにより作り出されたと考えられています。それは同軸に沿って端から端まで30万光年ほど広がっています。

更に、背後に見られる黄色の星々のデータは、ハッブル宇宙望遠鏡の光学撮影デジタル・スカイ・サーベイによって追加され、この「はくちょう座A」の驚異的な多重波長の画像が完成しました。

実際に人の目でこの様に見えるものではありませんが、様々な波長で捉え、可視化することにより、天体の構造や成り立ちの詳細を解明することができるのです。
それにしても、多くの天体の「赤と青」の画像は、とくに美しいものが多いのですが「はくちょう座A」の場合は、美しさよりおどおどしい亡霊的な不気味さを感じてしまいます。

Image Credit:X-ray: NASA/CXC/SAO; Optical: NASA/STScI; Radio: NSF/NRAO/AUI/VLA
■Light from Cygnus A
https://apod.nasa.gov/apod/ap150124.html

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