広島の新助っ人ローレンスはどんな投手? 奪三振少ないが、四球も少ない

広島との契約合意が発表されたケーシー・ローレンス【写真:Getty Images】

メジャーでは主に救援、38試合の登板から見る球種や球速は?

 今季、球団史上初のリーグ3連覇を達成した広島は、4日に新外国人のケーシー・ローレンス投手の獲得を発表した。今季マリナーズでプレーした右腕は、いったいどんな投手なのか。米国時代のデータから特徴を探ってみよう。

 31歳のローレンスは、昨季ブルージェイズでメジャーデビュー。シーズン途中にマリナーズに移籍した。2年間でメジャーでは通算38試合に登板(2先発)。3勝3敗、防御率6.64、計78回2/3で66奪三振、35与四球、105被安打、13被弾、60失点(自責58)、WHIP(1イニングあたりの与四球+被安打)1.78というデータが残っている。

 米データサイト「Baseball-Reference.com」によると、右打者に対してはキャリア通算199打数60安打の被打率.302、被出塁率.364、被長打率.467で被OPS(出塁率+長打率).831。一方、左打者に対しては通算130打数45安打の被打率.346、被出塁率.423、被長打率.569、被OPS.992となっている。右腕としては当たり前だが、左打者により打たれている。

 また、米データサイト「ファングラフス」によると、メジャー通算で投じた球種の割合は、ファストボール56.7%、スライダー26.5%、カーブ2.0%、チェンジアップ14.8%。ファストボール(速球)といっても、56.7%のうちフォーシーム(直球)が19.1%で、シンカー(ツーシーム)が37.2%(残りは判定不能)となっており、米国の投手らしくボールを手元で動かすタイプと言える。

 また、フォーシームの平均球速は91.5マイル(約147.3キロ)、シンカーが同91.3マイル(約146.9キロ)と、この2つのボールにはスピード差がほとんどない。変化球は、スライダーが同81.9マイル(約131.8キロ)、チェンジ・アップは同83.8マイル(約134.9キロ)、カーブは同78.9マイル(約127キロ)となっている。

マイナーでは主に先発、四球少なくコントロールの良さが際立つ

 奪三振も与四球も少ないが、メジャーの投手としては球種も多い。ファストボールの球速も決して速い方ではなく、「技巧派」と言える。なお、今季は大谷翔平投手(エンゼルス)と3度対戦しており、3打数無安打に抑えた。7月28日(日本時間29日)の試合では、89.3マイル(約144キロ)の速球を捉えられたが、打球速度106.7マイル(約171.7キロ)の痛烈な打球が二塁手ゴードンの正面を突き、ニゴロに打ち取るというプレーもあった。

 もっとも、これらは通算38試合の登板のうち、36試合で救援としてマウンドに上がったメジャーでのデータ。ローレンスはマイナー3Aでは通算50試合登板のうち、43試合で先発している。成績は15勝17敗、防御率3.73、262回2/3を投げて263被安打。204奪三振、50四球と技巧派ぶりが際立つ。WHIPは1.19となっている。

 また、今季の3Aでのデータを見てると、19試合登板のうち16試合で先発。先発では、6勝4敗、防御率3.34と安定した成績をマーク。86回1/3を投げて被打率.257、78奪三振、11四球とコントロールの良さが際立つ。MiLB(マイナーリーグ)公式サイトによると、今季は救援3試合を含めて左打者に対して被打率.279、右打者に対して同.234という成績。右打者はWHIP0.94と抑え込んでいる。

 コントロールの良さは確かなだけに、計算できる投手と言える。今季、敵チームのロッキーズのファンにボールをグラウンドでプレゼントし、そのファンから日本での成功を願うメッセージをツイッターで送られるという心温まるエピソードもあった。広島の助っ人に共通する人柄の良さも持ち合わせていることは確か。メジャーリーグレベルでの成績は決して良くないが、日本で開花する可能性は大いにありそうだ。(Full-Count編集部)

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