繰り上げ合格で男子、現役を優先 北里大医学部不適切入試

 文部科学省の医学部入試の緊急調査を受け、北里大は10日、相模原キャンパス(神奈川県相模原市南区)に本部を置く医学部の一般入試の繰り上げ合格者を決める際、成績順ではなく男子や現役生を優先する不適切な取り扱いがあったと発表した。同大の学事企画部は「公平であるべき入試で不公平な取り扱いがあり、社会の信頼を損なった。深くお詫び申し上げる」と謝罪、近く第三者委員会を設置して詳細を調査し、不利益を受けた受験生への対応も検討するとしている。

 同大によると、不適切な取り扱いがあったのは2018年2月の一般入試。得点が下位でも男子や現役生を優先して繰り上げ合格の電話連絡をしていた。

 合格者に男子の辞退者が多いことや、実習や手術の立ち会いなど体力が必要になる授業があることから判断したとしている。弁護士や教育関係者ら外部委員でつくる第三者委は、不利益を受けた受験生の人数や経緯、以前の入試についても実態を調査する。

 同大は入試の合否判定では特定の受験生への加点や減点はしておらず、繰り上げ合格の取り扱いは「私立大の裁量の範囲内」と考えてきたという。だが、今月4日に文部科学省の指摘を受けて公表した。

 同大医学部18年度入学者の一般入試は2644人の志願者に対し、184人が合格。指定校推薦の合格者45人を含めた合格者229人のうち入学者(学士入学は含まない)は119人だった。

 東京医科大の不正入試問題をきっかけに文科省が始めた緊急調査で、不適切な運用が明らかになったのは東京医大や北里大を含め計8大学に拡大した。

 文科省は個別の大学名は公表せず、各大学に自主的な説明を求めている。

医学部入試で不適切な取り扱いがあった北里大学=相模原市南区の相模原キャンパス

© 株式会社神奈川新聞社