外来アメンボ五島で初確認 在来種への影響懸念 東南アジアに生息する「トガリアメンボ」 長崎大・大庭准教授らが調査

 長崎県五島市の福江島で先月中旬、本来は東南アジアなどに生息する「トガリアメンボ」が初めて確認された。飛翔(ひしょう)能力が高く繁殖回数も多い外来種で、20年近くの間に国内で分布を広げている。専門家は、日本の在来アメンボを捕食し生息域を奪う可能性など、生態系への影響を懸念している。
 トガリアメンボは体長3~4ミリと小型の部類で、尻の部分がとがっている。国内では、2001年に兵庫県淡路島や神戸市周辺で初めて発見され、関東や九州方面に分布を拡大。輸入植物に産み付けられた卵で国内に侵入し、繁殖と移動分散を繰り返しているとみられる。12年に本県本土で確認され、14年には離島の壱岐市でも見つかった。
 福江島では先月18日に初めて姿が確認された。数年前から調査を続けていた長崎大教育学部の大庭伸也准教授(38)=昆虫生態学=と、「五島自然環境ネットワーク」の上田浩一代表(49)が五島市籠淵町のため池で発見し、採取。大庭准教授によると、トガリアメンボには高い飛翔能力があり、ここ1~2年以内に県本土から五島方面に飛んできた可能性も考えられるという。
 生態系への具体的な影響は、現時点では詳しく分かっていない。ただ国内の研究者からは、トガリアメンボの侵入と同時期に、より小さな在来種のカタビロアメンボ類が数を減らしたとの指摘もあるという。
 大庭准教授は「トガリアメンボが島内でどのように拡散するかや、在来種への影響について調査を続けたい。人への危害や農作物被害などがないとあまり注目されないが、市民には身近なところに外来種がいることに関心を持ってほしい」と話している。

五島市の福江島で見つかったトガリアメンボ(上田浩一さん提供)

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