米キックスターター、環境配慮製品の開発を支援

写真はすべてエンバイロメンタル・リソース・センターに成功例として取り上げられた商品。キックスターターで資金調達に成功している。上写真は不要となった漁網をスケートボードのボード部分に再利用した「ブレオ」 © Kickstarter

世界のクラウドファンディングの草分け的存在として知られる米キックスターター(ニューヨーク州)は、環境に配慮した製品づくりを支援する。このほど自社サイトに、「エンバイロンメンタル・リソース・センター」を開設し、製品の考案・制作段階からサステナビリティを取り入れてもらう仕組みを作った。開発にあたっては、「耐久性」や「再利用とリサイクル」など「5つの原則」を掲げた。(クローディア―真理)

キックスターターのエンバイロメンタル・リソース・センターは、米国を拠点に環境関連の支援運動を行うNPO、環境防衛基金(EDF)の協力のもと新設された。ケーススタディを交え、サステナビリティへの取り組みをどのように製品に生かし、消費者に向けて発信していくかなどについて、最も効率が良く、適切な方法を業界専門家が解説。環境・倫理面に配慮した商品づくりを考える際行うリサーチの最初のステップとしての情報を提供している。

「ザ・バンプ」は古いタイプのスピーカーをブルートゥース・スピーカーに変身させるツール © Kickstarter

同センターが商品に求める「5つの原則」とは以下の項目だ。
●耐久性に優れたデザイン
●再利用やリサイクルの可否
●サステナブルな素材
●環境負荷を抑えた工場での製造
●受注から配送までのサステナブルなプロセス

これらは、クリエイターが資金調達を行うにあたり、キックスターター上でプロジェクトを発表する際にも取り入れられる。まずキックスターター側が、5原則においてプロジェクトがどのように取り組んでいるかを質問。その回答を、プロジェクト紹介ページに新たに設けられた「環境への取り組み」のセクションに反映し、人々に支援するかしないかの判断材料としてもらう。フレッド・クラップEDF代表は、「商品がどのように作られ、環境にどのような影響を及ぼすかについて人々は強い関心を持っている。今までになかったアイデアを形にしたサステナブルな商品はバッカ―を得るのに有利」と考える。

おがくずを素材に取り入れたおもちゃ、「エコトラック」は既存のプラスチックのものより耐久性に優れている © Kickstarter

同センター創設にあたり、キックスターターの共同創業者、ペリー・チェン会長は、「キックスターターは公益法人として、下した決定が社会に及ぼす影響を事前に熟慮する義務がある。同センターを設け、クリエイターたちに環境に配慮するよう促すことで、私たちの責務遂行の第1歩を踏み出したことになる」と語っている。

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