<社説>銃所持米兵脱走 県民を危険にさらすな

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 米空軍嘉手納基地所属の空軍兵が拳銃を所持して基地外に脱走し、逮捕される事件が起きた。幸いにも被害はなかったが、兵士が脱走して逮捕されるまでの一時期、民間人の生命、財産が脅かされる危険な状態にあった。そのことを深刻に受け止めなければならない。 脱走した兵士は嘉手納基地に拠点を置く米空軍第353特殊作戦群に所属していた。6日午後3時35分ごろ、米軍から県警に「空軍兵1人が行方不明となり、拳銃を所持している疑いがある」との通報があった。約2時間後の午後5時45分ごろ、米軍憲兵隊が読谷村内で車に乗っていた兵士を発見し逮捕した。

 車内からは拳銃と装?(そうてん)されていない実弾15発が発見された。兵士が実弾を拳銃に装?すれば、基地外で銃を自由に発砲できる状態にあった。民間人に銃を向ける危険性があったのだ。どうして兵士が基地外に拳銃と実弾を持ち出すことができたのか。極めて不可解だ。

 今年5月にも嘉手納基地所属の空軍兵が那覇空港で実弾1発を所持していたとして、銃刀法違反容疑で逮捕されている。昨年4月にも那覇空港で空軍兵が実弾2発、海兵隊員が実弾3発、3月に海兵隊員がライフル銃の実弾13発を所持していたとして逮捕されている。

 2014年には北谷町のキャンプ桑江で、海兵隊員がライフル銃を別の基地から民間地を移動して持ち込み、立てこもる事件も起きている。

 基地内では、兵士が拳銃や実弾をいつでも自由に持ち出せるというのか。米軍の武器、弾薬類の管理体制は機能不全に陥っているとしか思えない。こうした状況が続くなら、米軍基地を抱える沖縄県民はたまったものではない。

 事件発生後の通報体制にも不備があった。米空軍は県警には当日に通報していたが、沖縄防衛局には事件翌日の夕方にしか連絡していない。

 日米両政府は1997年の日米合同委員会で、在日米軍の事件・事故の日本側への通報体制の新たな基準をまとめている。

 事件・事故が発生した場合、それに責任を有するか、察知した司令官が在日米軍司令部に情報伝達し、同時に地元防衛局に通報する。その後、防衛局が関係自治体に連絡するというのが通報体制の流れだ。

 今回、米軍が防衛局に連絡したのは、兵士の身柄が拘束されてから丸一日経過した後だった。これでは何の意味もない。迅速に連絡しなければ、日米合意はただの「絵に描いた餅」だ。

 武器管理と通報体制の不備を見ても、米軍組織の規律は大幅に緩んでいる。放置することなどできない。米軍は兵士が拳銃と実弾を基地外に持ち出せた理由を詳細に調査し、それを公表すべきだ。これ以上県民を危険にさらすことは許されない。