大同特殊鋼、IHI愛知の用地20万平方メートル取得 知多近隣、生産拠点に活用へ

 大同特殊鋼(社長・石黒武氏)は10日、特殊鋼鋼材メーン生産拠点の知多工場近隣に位置し、IHI(社長・満岡次郎氏)で11月に生産活動を終えた愛知事業所(愛知県知多市)のメーンエリアのうち約20万4600平方メートル分(事業所全体の敷地は約73万平方メートル)を取得することで基本合意した、と発表した。大同特殊鋼は現行中期経営計画(2020中計)に掲げる「ポートフォリオ改革」に資する機能材料やステンレス、高合金などの生産工場として活用していきたい考え。来年3月に売買契約を締結し、年央に所有権を移転する。

 所有権移転の対象となるのは、IHIが1973年に国内最大級の「100万トンドック」を備えた造船所として開設した大型工場のメーン工場エリアの土地・建物。最近ではLNG船用のアルミ製タンクなどの製作を手掛けていた。今秋生産活動を終えた。

 大同特殊鋼知多工場では、生産性向上のための製品置き場スペース確保を狙いに、数年前からスポット的な賃貸借契約を結んでIHI愛知事業所の遊休スペースを製品置き場として利用してきた。

 IHIによれば、今回譲渡の対象となったエリア以外の部分については「活用を検討している段階」という。

 取得金額は公表していないが、所有権の移転に伴いIHIに生じる譲渡益は約50億円。IHIは2020年3月期連結決算で約50億円の特別利益(固定資産売却益)を計上する予定。

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