日本が第1回大会から参加するアジアウインターリーグ 台湾球界の発展に貢献

AWBLの運営に携わってきた劉東洋氏【写真:広尾晃】

CPBLの宣推部主任として、AWBLの運営に携わってきた劉東洋氏

 現在、行われているアジアウインターベースボールリーグ(AWBL)は、アジア初のウィンターリーグとして台湾のプロ野球連盟であるCPBL(中華職業棒球大連盟)が主催している。CPBLの宣推部主任として、AWBLの運営に携わってきた劉東洋氏に話を聞いた。

 劉氏は、台湾の大学を出て日本の関西大学大学院に入学。マスコミ論などを学んだ。研究課題は“台湾の国民的英雄、王貞治”だった。その後、CPBLに就職し、現在に至っている。

「最初は、CPBLの機関誌である『職業棒球』の取材、編集に携わりました。その後、国際関係の仕事をやらせていただいて、今はAWBLをはじめ、国際大会、CPBLの海外遠征の仕事のコーディネーションをしています」

 劉氏は流暢な日本語で話す。CPBLとNPBの窓口的な存在だ。2012年から始まったAWBL(2014年は中断)の運営にも、携わってきた。

各国の若手が集まり切磋琢磨する大会「CPBLが発展するうえでも、欠かせない大会です」

「今回も、参加される関係者、コーチに話を聞くと、大会のレベル的には上がりつつあります。地元CPBLでもAWBLに参加する意義が少しずつ浸透しつつあります。今年は、昨年AWBLでプレーした王威晨(中信兄弟)選手が、盗塁王になりました。彼は福岡で行われたCPBL選抜と侍ジャパンの試合にも選抜されています。あくまでAWBLは、育成目的のリーグですが、それでも勝利や成績は大事です。

 最近では、台湾の人々もCPBLの成績に注目するようになりました。日本は1回目から参加していただいていますが、日本のドラフト1位、2位という優秀な選手とAWBLで切磋琢磨するのは、台湾の野球のレベルアップにすごくプラスになっています。そういう声を監督やコーチからたくさん聞きました」

 台湾のファンは特に国際大会に関心が高い。AWBLは若手選手主体の教育リーグだが、地元CPBLが成績が良ければ、観客動員も増えるし、報道の注目度も上がるという。台中洲際棒球場のNPBウエスタンとCPBLの試合でも、CPBLが逆転すると、観客席は大いに沸いていた。

「この大会が始まった頃は、海外のチームの招聘など、大変でした。すべてのウインターリーグの主催者は苦労したと思います。第1回目はCPBLと友好関係のあるNPBさんに選手を集めていただいて、開催することができました。翌年はKBOさんも参加いただいて、だんだん軌道に乗るようになりました。国際大会は、CPBLだけが頑張ってもできません。各国のご協力がないとうまくいきません。6回目の大会になって、認知度もアップして、ようやく皆様に受け入れられたと思っています。AWBLは、CPBLが発展するうえでも、欠かせない大会です。今後も日本、韓国などのご協力をいただいて、運営していきたいと思います」(広尾晃 / Koh Hiroo)

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