世界で最も危険な海 人命救助を阻まれ人びとは溺れるしか…

 今、地中海は世界で最も危険な航路になっている。人の命を救う海難救助船「アクエリアス号」が、意図的な妨害で活動停止に追い込まれた。

国境なき医師団(MSF)と市民団体「SOS メディテラネ」が共同運航するアクエリアス号は、約3年にわたって、地中海で水難事故にあった3万人を援助してきた。中東やアフリカから欧州を目指す移民・難民には安全で合法的な移動手段がなく、命の危険を冒して地中海を渡っている。

アクエリアス号は規制を遵守して救助活動をしているにもかかわらず、この2ヵ月間、イタリアを初めとするEU加盟諸国の政策により、船籍を剥奪されたり、不当な犯罪容疑をかけられたりして、活動を妨害されている。船は港に留め置かれ、援助ための出航ができないままだ。アクエリアス号が止まれば、助かるはずの多くの命が地中海へ沈んでいく。

MSFは、全力で医療・人道援助の方法を探っていく。地中海で溺れる人びと、リビアで身柄を拘束されている人びとがいる限り——。

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