川崎在住の被爆2世 森川さん「核なき未来へ」出版 平和運動 踏み出す一歩に

 神奈川県原爆被災者の会二世支部の副支部長、森川聖詩さん(64)=川崎市=は、被爆2世が抱える問題に焦点を当てた「核なき未来へ-被爆二世からのメッセージ」(現代書館)を出版した。自らの体験などを基に、核兵器や原発事故の悲劇を繰り返さないための行動を訴えている。
 森川さんの父親は当時、広島中央放送局の職員で29歳。爆心地から約1キロ、現在の広島市中区幟町にあった同局で被爆した。森川さんは1954年生まれ。幼い時から病弱で、けがをすると治りが遅く傷口が化膿(かのう)していたという。
 森川さんは78年、知人と関東被爆二世連絡協議会を結成。現在は脱原発・再生可能エネルギー推進に取り組む団体のメンバーとして活動したり、広島市被爆体験伝承者になるための研修を受講したりしている。
 同書の前半では、被爆2世として、時に差別的な扱いを受けた自身の人生と当時の社会情勢を合わせて描写。小学校の時に友人から心無い言葉を掛けられたり、就職活動中に本籍地について尋ねられ不採用になったりしたという。
 後半は、森川さんの願いも。平和や反原発、環境などそれぞれの問題解決について活動している人たちが連帯し、大きな力にしてほしいとしている。読者が反核運動へ第一歩を踏み出せるよう、ヒバクシャ国際署名などの活動も紹介した。
 森川さんは「核の問題は一つの世代では終わらない国民全体の問題」と指摘。「特に若い人に読んでほしい。本の内容が多くの人に共有され、さまざまな人の知恵で、平和を目指す運動が動くきっかけになれば」と語った。
 四六判381ページ、3240円。全国の書店で販売している。

「核なき未来へ―被爆二世からのメッセージ」を出版する森川さん=長崎市内

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