認知症保険の必要性。認知症患者の事故を受け久留米市は市が保険料負担

認知症は多額の医療費がかかり、介護費用は通常の介護費用と比べ2倍とされています。

2025年には、高齢者の5人に1人は認知症患者になると推測されており、介護保険では、認知症患者への保障が十分ではなくなってきました。

このような中、認知症患者への保障に特化した認知症患者対象保険の必要性が増してきています。

介護保険の保障範囲

介護保険は、高齢者の自立支援を目的とした保険です。

デイサービスやショートステイなどの通所サービスはもちろん、訪問介護や入浴補助などの自宅への訪問サービス、福祉用具の貸し出しやバリアフリーなど住宅改修への補助も受けられます。

所得にかかわらず利用者の負担が1割と経済的負担が少ないのも特徴です。

ただし、認知症患者に特化した保障はありません。認知症患者が起こした事故に対しては、高額の請求をされる可能性があります。

認知症保険の特徴

その名の通り、認知症に特化した保険です。

認知症になり介護が必要になった時に一時金がもらえる、認知症患者が第三者に損害を与えた時に補償されるなどの特徴があり、介護保険にはない保障を補ってくれます。

例えば東京海上日動火災保険が10月に発売する認知症保険は、認知症患者が誤って線路に侵入し鉄道会社から遅延損害金を請求された場合に最大1億円が褒章されます。

認知症の確定診断を受けていなくても加入ができます。

器質性認知症が加入対象

加入する保険によって異なりますが、多くはアルツハイマー型・レビー小体型・脳血管性などの認知症全体の80~85%と大多数を占めている器質性認知症が対象です。

器質性認知症以外の認知症は保障の対象外であるということは覚えておきましょう。

久留米市では市が保険料を負担

福岡県久留米市では、認知症患者が徘徊中に事故に合った時に備え、市が代わりに保険に加入する事業を2018年10月に実施すると発表しました。

一人あたり年間約1,500円、1,000人分の保険料に相当する150万円を予算案に計上しています。

市が保険料を負担するにいたった背景

久留米市では、認知症により行方不明になる可能性があるとして、顔写真を登録している認知症患者が250人おり、昨年度の捜索依頼は33回にも上ります。

2007年に愛知県大府市で認知症の高齢男性が誤って線路入り、電車にはねられ死亡した事故がありました。鉄道会社は、認知症の男性のご家族に高額な損害賠償を請求しています。

裁判によりこの請求は取り下げられましたが、認知症患者を介護する家族へ多大な支払いが発生する可能性もあり、救済が必要だと認識されました。

まとめ

高齢化社会の中、認知症患者の増加にともない、ご家族の負担は大きくなることが予想されています。

介護保険はもちろん、今後は認知症保険もより必要とされる保険になっていくことでしょう。

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