【中村紀洋の目】オフはやみくもにバットを振っても意味がない 野球から離れる時間も大事

現在は野球の指導なども行っている中村紀洋氏【写真:岩本健吾】

野球から離れることで、始動した時に自分の感覚を俯瞰して見られる

 シーズンオフになり、契約更改の時期になりました。これから選手たちは球団行事などイベントに参加する時もあると思いますが、心身を充電するオフに入ります。野球をしている時間も大事ですが、野球から離れる時間も重要だと思います。

 僕はオフに入ったらバットを持たないようにしていました。これは意識的にしていたことでバットを持つと余計な癖がついてしまう可能性があるからです。ただオンとオフの境目がなくやみくもに振り続けてもあまり意味をなさないように感じます。長丁場のペナントレースを終えて体も心も疲弊しています。野球から離れる時間を置くことで、自主トレで始動した時に自分の感覚が俯瞰して見られる。現状はこうだからこういう練習をしてみよう、この部分を強化してみようというのが明確にわかるような気がします。

 これはプロでなく高校生や中学生にも共通することだと思います。目的意識を持たずやみくもに練習してもなかなか上達しません。もちろん指導者の責任も大きいのですが、同じ練習でもやらされる意識でやるのと、自ら積極的に取り組むのでは成長速度も変わってきます。自分で色々試そうとするのは非常に良いことだと思います。できなくて当たり前ですから。色々試してコツをつかむ子がレギュラーになる傾向が強いと思います。

 また、子供たちは親御さんや家族のおかげで野球を続けられています。野球に打ち込む時間も大事ですが、礼儀や挨拶もきっちりして勉強もしっかりやってほしいですね。文/構成 インプレッション・平尾類

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