横浜市民病院、移転整備費用32億円増 黒字化も後ろ倒し

 横浜市は12日、市立市民病院(同市保土ケ谷区)の移転整備の総事業費が設計時より約32億円増え、約482億円になるとの見通しを示した。導入する医療機器を高機能化することが主な要因。基本計画から2度目の増額になり、市会からは市の見通しの甘さを指摘する意見が出た。

 市は2014年に策定した基本計画で、総事業費は約426億円としていたが、建設単価の上昇に伴い、17年の設計時に約450億円に増額した。

 市医療局病院経営本部によると、増額する約32億円のうち、7割に当たる約23億円は医療機器の導入、または更新のための費用。新たに高精度の放射線治療装置などを取り入れるほか、磁気共鳴画像診断装置(MRI)やコンピューター断層撮影装置(CT)をより高機能なものに切り替える。約9億円は資材価格上昇やコンサルタント委託に充てる。

 2回の増額により、基本計画で「開院後、2年目で黒字化する」としていた見込みも、「7年目」まで大きく後ろ倒しされる見通しになった。

 12日に開かれた市会健康福祉・医療委員会で、市側が増額を報告。委員から「見通しが甘い」「(医療機器分の)23億円追加は尋常じゃない」などの意見が出された。

 これに対し、増住敏彦・病院経営副本部長は「基本計画時点では、医療機器は現状程度ということで概算で積算していた」と甘さを認めて謝罪。循環器系専門医が確保でき、診療領域も広がることから「あえて踏み込んで投資しないと、他の病院に後れを取る危機感が強かった」として理解を求めた。

 移転整備地は、神奈川、西区にまたがるニッパツ三ツ沢球技場の隣接地で、基は企業の社宅と野球場があった場所。診療棟、管理棟とも現在工事中で、20年1月の完成、5月の開院を予定している。現在の市民病院は開院後に解体、跡地に野球場を整備する。

横浜市立市民病院

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