再び盛り上がる日台の野球交流の機運 王柏融の活躍でさらに加速を期待

AWBLの運営に携わってきた劉東洋氏【写真:広尾晃】

AWBLを推進するCPB宣推部主任L・劉東洋氏に聞く

 アジアウインターベースボールリーグ(AWBL)を主催するCPBL(中華職業棒球大連盟)の宣推部主任である劉東洋氏に、昨今の日本野球の動きは、台湾でどのように受け止められているか、聞いた。

 劉氏は、台湾の大学を出て日本の関西大学大学院に入学。マスコミ論などを学んだ。研究課題は「台湾の国民的英雄、王貞治」だった。その後、CPBLに就職し、現在に至っている。

 4割打者・王柏融の日本ハムへのポスティング移籍について、台湾での反応はどうなのか、劉氏に聞いてみた。

「Lamigo球団のGMも言っていましたが、海外にいい選手が流出するのはチームとしては痛いですが、王選手は日本で活躍して、CPBLのレベルの高さを世界にアピールしてほしいと思っています。今まで、CPBL経由で個人タイトルを取った選手がNPBに挑戦したことはありませんでした。それだけ王柏融への注目度は高いですし、成功してほしいという思いは強いですね。台湾の野球ファンもそう思っていると思います」

球場には、NPBチームのユニフォームを着たファンが多く詰めかけている【写真:広尾晃】

郭泰源、郭源治、荘勝雄のような大活躍を期待

 台湾では昔から日本のプロ野球の中継があり、人気を博していた。劉さんは1980年代に郭泰源や郭源治、荘勝雄らが活躍した時代から日本のプロ野球を見ていたという。

「日本のプロ野球の試合を見て、週刊ベースボールなどの雑誌も見て、何が書いてあるのか、台湾の選手をどう評価しているのかを知りたくて、日本語の勉強を始めました。興味を持つとやはり深く知りたくなります。私と同じような経験をした人は多いのではないでしょうか。郭源治選手は個人タイトルもとりました。当時は、台湾選手のレベルの高さに日本球界も注目していたと思います」

 スタジアムには、NPBチームのユニフォームを着たファンがたくさん詰めかけている。日本の野球への注目度が高いことを感じさせる。

「王柏融選手が、郭泰源、郭源治、荘勝雄選手のように、日本で大活躍すれば、注目度はさらに上がると思います。必ず活躍すると信じています。

 日本のプロ野球からCPBLに入団する選手もこれまでもたくさんいました。最近では2012年、鎌田祐哉投手(元ヤクルト、楽天)が16勝を挙げ、最多勝を取りました。しかしCPBLの外国人枠は3であることもあって、最近は日本人選手も少なくなりました。

 王選手が活躍すれば、日本と台湾の野球交流や、ファン同士の交流ももっともっと盛り上がるのではないでしょうか」

 最近は、U24アジアチャンピオンシップなど国際大会で台湾チームと日本チームが対戦する機会は多い。またロッテは春季キャンプでLamigoと定期交流戦を行っている。楽天は来年2,3月に台湾遠征を予定している。

「日本と台湾の野球を通じた交流が活発になるのは、台湾のファンにとっても喜ばしいことです。私自身も今後、尽力したいと思っています」

 盛んになっている日本と台湾の野球を通じた交流を、劉さんはCPBLの立場から今後もサポートしていく。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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