<とある窓>心の風景たどる 写真と証言で震災被災者の思い追体験

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会場に並ぶ「窓」から見える風景の写真。添えられたエピソードには被災者のまなざしや思いがつづられている

 東日本大震災から7年半という時間の経過を、窓の写真と住民の証言で表現する展覧会「とある窓」が、仙台市青葉区の東北リサーチとアートセンター(TRAC)で開かれている。復興事業で建設された防潮堤、亡くなった妻が好きだった花が咲く庭…。被災や復興が見える窓は、岩手、宮城、福島3県の現状を切り取る。写真には聞き書きを添え、被災者の思いや記憶を追体験できる。

 被災3県の住宅や福祉作業所など窓の写真21枚を展示。各写真に添えられた小冊子には、21人の震災時の記憶や現在がそれぞれの話し言葉でつづられている。

 公営住宅の窓から見える緑地帯。塩釜市の男性は、そこで海に向かって民謡の練習を重ねるという。津波で自宅は流されてしまった。心の支えは今、小さい頃から親しんだ民謡だ。

 東京電力福島第1原発事故で多くの町民が避難している福島県富岡町。タクシー運転手の男性は復興関連の作業員を何人も乗せた。フロントガラスの向こうは静かな街並み。昔はにぎやかだったと振り返る。

 仙台市を拠点に活動するアーティストらによる一般社団法人「NOOK(のおく)」が企画した。メンバーと東京の写真家森田具海(ともみ)さんが、陸前高田市など沿岸14市町村を回り、住民らにインタビューを重ねた。

 窓を媒体に選んだ理由をNOOKの美術作家佐竹真紀子さん(27)は「被災体験をストレートに聞くと、言葉に詰まる人もいる。日常の暮らしの中にある窓をインタビューの起点にすると、被災者は記憶をたどり、思いを語りやすくなる」と語る。

 展覧会は金、土、日曜のみ、午後1~8時。最終日の24日も開催する。入場無料。連絡先はTRAC事務局022(397)7256。