ニッサン、オルドネス&バンコムと2019年の契約結ばず。GT3プログラムで活躍

 ブランパンGTシリーズやニュルブルクリンク24時間、バサースト12時間などニッサンが参加する多数のGT3プログラムで、ニッサンGT-RニスモGT3をドライブしてきたルーカス・オルドネスとアレックス・バンコムが、日本メーカーとの契約更新が叶わずチームを離れることになった。

 約10年間、欧州ニッサンの顔としてGT3カテゴリーで活躍してきたオルドネスとバンコムが2019年の契約を得られなかったという情報は12月11日、ニッサンの声明によってもたらされた。

 ニッサンにとって功労者と言えるふたりとの契約終了の理由は、同社がグローバルレースプログラムをGTカテゴリーから2018/2019年シーズンから参戦を開始するABBフォーミュラE選手権に移し、ブランドの転換を図るためと説明されている。

 2007年にニッサンに加わったバンコム、その翌年にプレイステーションGTアカデミーの初代卒業生として加入したオルドネスに対し、ニッサンは次のように感謝の意を述べている。

「両ドライバーは過去10年間、ニッサンに信じられないほどの貢献をしてくれた。この間、我々は優勝やチャンピオンシップの獲得など、多くの成功を成し遂げることができた」

「オルドネスはニッサンとグランツーリスモのコラボレーションによって生まれた、GTアカデミーで初の栄冠に輝き、バンコムはそんなオルドネスをはじめとするGTアカデミー卒業生の良き指導者して活躍してくれた」

「我々はともに努力を重ねてきた彼らに感謝すると同時に、ふたりにとってより良い未来が訪れるよう願っている」

スーパーGT300クラスへの参戦経験もあるルーカス・オルドネス(右)とアレックス・バンコム(左)
2018トタル・スパ24時間で2台揃ってチェッカーを受けるGT SPORT・モチュール・チームRJNのニッサンGT-RニスモGT3

 2015年に千代勝正、ウォルフガング・ライプとともにブランパンGTシリーズ・エンデュランスのシリーズチャンピオンを獲得したバンコムは、ヨーロッパファクトリーによるGT3プログラムの終了が自身と日本メーカーとの契約終了に寄与したと語った。

「ニッサン/ニスモとの旅は素晴らしいものだったが、今は変化の時だと思っているんだ」とバンコム。

「GTプログラムが限定され、ヨーロッパでの活動がなくなってしまったことは残念に思うよ。しかし、同時に新しい機会を模索する時がきたと感じたんだ」

「僕たちはGTレース、特にGT3の素晴らしい時代を楽しんできた。だから僕のキャリアにおける次のチャプターがどのようなものになるのかにとても興奮しているんだ」

 一方、2013年にエンデュランスカップのプロ・アマカップでタイトルを獲得し、ニッサンエンジンを搭載するLMP2カーでル・マン24時間に参戦、クラス表彰台に2度登ったオルドネスは、ニッサンとの関わりが「素晴らしい思い出」であるとコメントしている。

「この間、我々は多くの勝利と成功を収めることができた。しかし、これからは新しいチャレンジを捜しながら、さらにプロフェッショナルになるための努力を続け僕自身のゴールを目指していくつもりだ」

「今回の件は悲しいことではないよ。僕は次の目標を達成するために新しい環境で、また素晴らしい関係を築けることを楽しみにしているんだ」

 今季、バンコムとオルドネスは、若手ドライバーのマット・パリーとともにGT SPORT・モチュール・チームRJNの23号車ニッサンGT-RニスモGT3をドライブしてブランパンGTシリーズ・エンデュランスカップに参戦。ポール・リカール1000kmで総合5位を獲得している。

 ニッサンの声明では、2019年もカスタマーチームの手で18年型GT-RニスモGT3が同シリーズを走るとされているが、チームRJNの参戦計画は確認されていない。

ルーカス・オルドネスとアレックス・バンコムが2018年にドライブしたGT SPORT・モチュール・チームRJNの23号車GT-R
ルーカス・オルドネスはプレイステーションGTアカデミーの初代卒業生として2008年にニッサンに加入した

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