【MLB】菊池雄星の魅力とは… 敏腕代理人語る「唯一の27歳左腕」「もたらす経済効果」

ポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指す菊池雄星【写真:荒川祐史】

菊池がもたらす経済効果もアピールポイント

 西武からポスティングされた菊池雄星投手の代理人、スコット・ボラス氏が12日(日本時間13日)、米ネバダ州ラスベガスで開催中のウインターミーティングで、メジャー移籍を目指す日本人左腕獲得に「ほぼ全球団が興味を示している」と満足そうに報告した。マリナーズやジャイアンツらが獲得に向けて熱心に動く中、ボラス氏は菊池の魅力について熱弁を振るった。

 今オフはFA市場に左腕が多いが、目玉とされるダラス・カイケル(アストロズFA)は30歳で、JA・ハップは36歳。ボラス氏は菊池について「唯一の27歳左腕だ」と、その若さを強調する。また、日本球界からメジャー移籍を目指す高卒投手は、プロ入り後も即戦力として起用され、肩肘を酷使していると考えられている。だが、菊池は故障による離脱も含め、プロ入りから9年間で1軍での投球回数は1010.2回と比較的少なく、ボラス氏は「チームは肩肘はフレッシュだと考えている。メジャーに来た他の日本人投手と違って、日本での投球回数は限られている」と指摘した。

 菊池を獲得するためには、チームは譲渡金を支払わなければならないが、契約金に応じて譲渡金が変動する新ルールが適用される。新しいポスティングシステムはメジャー球団にとって大きな負担を強いるものではない。また、クオリファイング・オファーを受けたFA選手と契約する場合、チームはドラフト指名権を失うことになるが、菊池の場合はその心配もない。ボラス氏は「チームにとって魅力的」と強調する。

 さらに、日本人選手がチームにもたらす経済効果もアピールポイントになる。日本で試合がテレビ中継されるだけでも宣伝効果はあるが、日系企業が球場に広告を出したり、日本からファンが観戦に訪れるなど、球団の営業面で受ける恩恵は少なくない。ボラス氏は「日本企業とのパートナーシップ、日本という素晴らしい国が持つ価値がチームにもたらされる。日本のスター選手がもたらす経済効果にも期待しているチームはある」とした。

 こういった数々の“魅力”が、「優勝を狙うチームと再建中のチームは違うタイプの選手を求めるが、彼は両方から興味を示されている」という異例の人気につながっているのだろう。

 菊池獲得の利点について、ボラス氏から各球団に十分過ぎるアピールが行われたことは間違いない。今度は獲得に興味を示す球団が、菊池との直接面談でチームのアピールをする番だ。12月下旬から行われる直接面談を経て、年内にも移籍チームが決まる流れとなりそうだ。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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