やまゆり園利用者の意思決定支援、年内に着手 地域移行へ

 神奈川県立障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)の再生に絡み、県は13日、年内に利用者全員の意思決定支援を始められるとの見通しを明らかにした。グループホーム(GH)の体験や見学も促し、地域生活に移行する取り組みを実践。再建する施設の新たなコンセプトも打ち出し、「施設から地域へ」という潮流に沿った障害者福祉施策を着々と進めている。

 県によると、利用者の暮らし方や居住場所を選択する意思決定支援は、対象者124人のうち119人(12月1日現在)に着手。昨年秋から自立支援や障害福祉サービスの利用計画作成などを担う相談支援専門員らが、国のガイドラインを参考にして個別に進めている。119人中GHでの生活を体験したり見学したりした利用者は58人。実際にGHでの生活を始めたのは1人にとどまるが、丁寧に対応しているという。

 一方、再建後の新たな居住棟は定員11人のユニット二つを隣接して配置し、プライバシーに配慮しながらスタッフが見守りやすい環境を整備する方向。ユニットごとに玄関を設けて一般住宅に近い外観とし、ダイニングルームを中心に採光にも配慮した家庭的で明るい生活空間にするという。13日の県議会厚生常任委員会で県が説明した。

 同園で入所者19人の命が奪われた事件は2016年7月に発生。入所者は昨年4月に芹が谷園舎(横浜市港南区)に仮移転し、今年5月に建て替えに向けた解体工事が始まっている。

解体作業が続く津久井やまゆり園。献花台には作業所に通う利用者らが手作りした千羽鶴が飾られていた=2018年7月、相模原市緑区

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