藻食魚増え磯焼け進む 駆除対象の魚を料理に

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 全国の研究者らが対馬に関する研究成果を発表する「対馬学フォーラム」(対馬市主催)が9日、同市内で開かれた。海中の藻場が消失し漁獲減少につながる「磯焼け」について、専門家が最新の研究成果を報告し、藻を食べる魚類が対馬北部の海域で増えていると指摘した。
 フォーラムは、研究成果を市民と共有しようと2015年から開き、4回目。今回は島内外の大学や研究機関など42グループが計52本のポスター発表をしたほか、4グループが登壇し特別報告をした。
 九州大大学院の清野聡子准教授(生態工学)は磯焼けについて特別報告。対馬市が16年度に実施したアンケートでは、島内全37漁業集落のうち25集落が「藻場は消失し皆無」と回答していることを紹介した。
 清野准教授は、最新技術を活用した環境DNA調査を実施した結果、過去に磯焼けが見られなかった対馬北部の海で、藻を食べる魚類「アイゴ」「イスズミ」の生息密度が高まっていると指摘。「対馬北部や中部東岸は今が(磯焼けになるかどうか)攻防戦の最中。積極的にアイゴやイスズミを取ることで磯焼けが軽減される可能性があり、海の現状を把握することにもつながる」と語った。
 対馬地区漁協女性部(犬束ゆかり会長)は、アイゴやイスズミを使ったつみれ汁、南蛮漬け、くん製など200食を提供。試食した同市美津島町の獣医師、森寛士さん(52)は「つみれ汁はいいだしが出ている。おいしい」と笑顔。犬束会長は「(くさみが出る)血合いを完全に取るなど工夫した。これからも駆除対象の魚の資源化を図っていきたい」と意欲を見せていた。

磯焼けについて報告する研究者=対馬市厳原町、市交流センター