刺激求め米国挑戦へ  「わくわくすること好き」 ロサンゼルスで暮らす人々 - Vol.768

By Yukiko Sumi

野久保 直樹 |Naoki Nokubo 俳優

 芸能生活を始めて14年の野久保直樹さんは今夏、ロサンゼルスへやってきた。求めるは「挑戦」。10年前、NYに1カ月間滞在しとにかく数多くの舞台を鑑賞した。これが舞台に気持ちが向くきっかけとなり、この10年間で60本以上の舞台に出演してきた。その間にも、NYでの経験は海外へのあこがれという形で心の中を占めるようになっていった。

 上京し下積み時代から合わせると早19年が経った今年、さらなる刺激を求める自分に気づいた。スケールの大きい海外作品や大好きなマーベル作品に出たいという目標が浮き彫りになった。第一線で自分を試し、そこで成長したいという思いは日に日に強まった。「俳優は一生やっていきたい。米国で活動するために必要な語学を身につければ、それはスキルとして残る。海外生活は人間的にも成長できるし幅は広い方がいい」。

好奇心旺盛で挑戦することが好き。野久保直樹さんは米国で俳優として成長したいという思いでLAへやってきた

 もともと好奇心旺盛な性格だ。「何かを学ぶなら少しでも上のレベルで学びたい」と向学心も高く、負けず嫌い。「子どものころから何でも一番じゃないと嫌だった。やりたいことやできないことに対して、とことん自分を追い詰める性格。役を演じるといろいろな課題が出てくる。それをこなせるようになれば自分のスキルになる」。俳優は達成できたときの喜びが大きい。「谷があるからこそやりがいもある」と情熱を燃やす。

 演技メソッドが確立されている米国でのチャレンジは、必ず自分の将来のためになると考えた。渡米を決めてからは早かった。2カ月間で準備。東京のアパートも完全に引き払い、両親を説得し「覚悟を決めて」踏み切った。「こちらに来てあらためて、とんでもないところに足を踏み入れたなと思う。でもやってみなければ何も変わらない」。目標設定シートを作り、やるべきことが見えてきた。LAに来て人の優しさをあらためて感じ、ネガティブに考えることが減った。日本では人目を気にし、自分と人を比較もしていたが「人は〝Only one〟なんだと再確認した。人と比較しても意味がない。人のことは〝想う〟けど気にしなくなったら自分が楽になった。まだまだやらなきゃいけないことはたくさんある」。

アクションのスキルを向上させようと、LAでは本格的なボクシングトレーニングも開始した

 アメリカは演技だけではなく、歌や踊り、アクションなどさまざまなジャンルにおけるスキルのレベルが異様なほどに高い。「こんな中に入ろうとしていると思うと探求心が出てくる。大丈夫かなとか、いろいろな感情が入り混じるほど刺激がある。わくわくすることは大好きだから」。人生には偶然はなく、すべては必然で起こっていると考える。だから「自分のやっていることに対して不安はない。人生半分以上がつらいことって言うけど、意味があると思えばそれはプラスになる」。自分を信じ、これからも挑戦し続ける。

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