【本】〈富士興産・小川金治郎会長〉90年の歩み「自叙伝」発刊

 富士興産(本社・大阪市)の小川金治郎代表取締役会長はこのほど、自叙伝『これが私の人生、金ちゃんの穿入蛇行90年』(A5判236ページ)を上梓した。

 同社はレアメタル・レアアースのリサイクル専業商社。小川会長が約40年にわたる富士商の経験を生かし、レアメタルでのリサイクル事業化のため1989年に設立した。

 小川会長は1927年生まれで現在91歳。戦時中には海軍飛行予科練習生を志願し、三重海軍航空隊(普通科)に合格し入隊。卒業後は台湾・高雄航空隊(高等科)に入隊する。卒業後は第709攻撃隊(木更津航空隊)配属。戦禍が激しくなる中、松島航空隊、その分遣隊である神町航空隊に配属になるも終戦を迎える。同期のうち30人は特攻作戦などで戦死したという。

 「戦後は厚生省(当時)の事務官として舞鶴で復員・引き上げの仕事に携わり、やがて縁あって金属リサイクルの仕事を手掛けることになった。大手商社に会社を乗っ取られたり、銀行の甘い誘いに乗せられ巨額の負債を抱え込んだりもした」(小川会長)。

 稲山嘉寛氏(八幡製鉄社長、新日本製鉄社長・会長)の影響で同門の小唄の稽古に通い名取を取得したことや、趣味のマラソンに没頭した記載も…。巻末には「小川会長の略歴」や「思い出アルバム」のコーナーがある。タイトルの「穿入蛇行」は、郷里の新潟県・中越地方を南北に貫く渋海(しぶみ)川の激しい蛇行の有様から。「海軍の五省」を胸に刻み歩んできた、自身の激動の半生を重ね合わせた。

 富士興産は大阪市大正区に加工処理工場を持つ。レアメタルスクラップ(ニッケル、コバルト、チタン、タングステンなど)のリサイクル・回収、選別検収から加工、販売を手掛ける専門業者。従業員は20人、年商は43億円(17年度)。小川会長自叙伝をご希望の方は(富士興産▽電話=06―6630―7066、担当者・赤嶺氏)まで。

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