5年経過した2013年ドラフト、セ各球団の成果は? 大瀬良&田中指名の広島は秀逸

広島・田中広輔(左)と大瀬良大地【写真:荒川祐史】

巨人は小林&田口が1軍で戦力になるも、奥村&平良は移籍

 12月半ばに差し掛かり、2018年もあとわずかとなった。ソフトバンクが2年連続で日本一に輝いたプロ野球界もすっかりシーズンオフとなり、話題はストーブリーグが中心に。各球団の契約更改も進み、FA権を行使した選手たちの去就も全て決定。新助っ人の補強も、続々と発表されてきている。

 そして、今秋のドラフト会議で指名された各球団期待のルーキーたちも正式に契約を締結。各球団で新入団選手発表会も行われており、お披露目されている。中日に入団した根尾昂内野手やロッテの藤原恭大外野手、広島の小園海斗内野手、日本ハムの吉田輝星投手、西武の松本航投手、ソフトバンクの甲斐野央投手らが注目を集める中で、来季、一体どの選手が輝きを放つのか、楽しみだ。

 ルーキーたちがいきなり1年目から活躍するのは、なかなか至難の技である。昨年のドラフトで指名された今季のルーキーたちも然り。清宮幸太郎内野手が大きな注目を集めた中で、大きく活躍したのはDeNAの東克樹投手ら、一握りの選手だけだった。

 ドラフトの成果は5年、10年経ってみないと分からないと言われるもの。では、5年前から10年前の各球団のドラフトが、今季どのように成果として発揮されたか、1年ずつ検証していってみよう。今回は5年前、2013年のドラフト【セ・リーグ編】だ。

◯セ・リーグ
【巨人】
× 石川歩投手
1 小林誠司捕手 119試265打数58安2本26点 .219
2 和田恋内野手 5試8打数1安0本0点 .125
3 田口麗斗投手 16試2勝8敗0S0H 4.80
4 奥村展征内野手(→ヤクルト)32試41打数9安1本0点 .220
5 平良拳太郎投手(→DeNA)13試5勝3敗0S0H 3.49
育1 青山誠外野手(2018戦力外) 1軍出場なし
育2 長江翔太投手(2016戦力外)

【阪神】
× 大瀬良大地投手
× 柿田裕太投手
1 岩貞祐太投手 23試7勝10敗0S0H 3.48
2 横田慎太郎外野手(→育成) 1軍出場なし
3 陽川尚将内野手 75試274打数69安6本48点 .252
4 梅野隆太郎捕手 132試386打数100安8本47点 .259
5 山本翔也投手(2018戦力外)1試0勝0敗0S0H 15.00
6 岩崎優投手 61試1勝3敗0S10H 4.94

【広島】
1 大瀬良大地投手 27試15勝7敗0S0H 2.62
2 九里亜蓮投手 24試8勝4敗0S0H 4.26
3 田中広輔内野手 143試572打数150安10本60点 .262
4 西原圭大投手(2016戦力外)
5 中村祐太投手 9試3勝4敗0S0H 6.04

中日は又吉と祖父江が戦力になるも、1軍出場はセ最少の3人だけ

【中日】
× 松井裕樹投手
1 鈴木翔太投手 2試0勝0敗0S0H 5.19
2 又吉克樹投手 40試2勝5敗0S9H 6.53
3 桂依央利捕手 1軍出場なし
4 阿知羅拓馬投手 1軍出場なし
5 祖父江大輔投手 51試2勝2敗0S17H 3.14
6 藤澤拓斗内野手(2015戦力外)
育1 岸本淳希投手(2017戦力外)
育2 橋爪大佑内野手(2015戦力外)

【DeNA】
× 松井裕樹投手
1 柿田裕太投手(2017戦力外)
2 平田真吾投手 17試0勝0敗0S0H 6.66
3 嶺井博希捕手 91試209打数37安5本25点 .177
4 三上朋也投手 65試1勝1敗0S25H 3.05
5 関根大気外野手 29試25打数7安0本3点 .280
6 山下峻投手(2016戦力外)
育1 砂田毅樹投手 70試合0勝2敗0S24H 3.61
育2 萬谷康平投手(2016戦力外)

【ヤクルト】
× 大瀬良大地投手
1 杉浦稔大投手(→日本ハム)3試2勝0敗0S0H 2.84
2 西浦直亨内野手 138試479打数116安10本55点 .242
3 秋吉亮投手 35試2勝2敗0S6H 4.23(→来季日本ハムへ)
4 岩橋慶侍投手 1軍登板なし
5 児山祐斗投手(2016戦力外)
6 藤井亮太捕手 38試51打数14安0本4点 .275

 今季セ・リーグ3連覇を成し遂げた広島のドラフト指名が、5年後の今季、見事な成果を発揮している。ドラ1の大瀬良が最多勝の活躍を見せ、2位の九里も先発、中継ぎでいい働きをした。3位の田中は3年連続フルイニング出場を達成し不動のリードオフマンに成長を遂げた。上位3選手が揃って活躍を見せるドラフトもなかなか無いだろう。

 巨人は小林が正捕手の座を掴みつつあったが、来季はFAで炭谷が加入するとあって、その競争がどうなるか。田口は今季は苦戦したものの、昨季まで2年連続2桁勝利と結果を残している。阪神は岩貞がローテに入り、梅野が正捕手となったが、広島の大瀬良、田中のような突き抜けた存在はまだ出て来ていない。

 中日は又吉、祖父江がリリーフとして戦力となっているが、今季1軍で試合に出場した選手数はセ・リーグ最少の3人。DeNAはドラフト1位の柿田が既に戦力外となったが、2位以下の嶺井や三上、育成出身の砂田らが戦力になっている。ヤクルトはドラフト1位だった杉浦が日本ハムへ移籍し、3位の秋吉も来季から日本ハムへトレードに。6選手のうち3選手がチームを去ることになった。

 こうしてみると各球団、チームの中心となりつつある選手は着実に出てきている。ただ、広島のように複数の選手が、球界を代表するまでに成長してはいない。2013年のドラフトで、セ・リーグで広島が最も成果を収め、それが3連覇達成の1つの要因となっていると言えるだろう。(Full-Count編集部)

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