【あおり判決】県警「遺族は無念、当然の結果」

 東名高速道路の事故に対する危険運転致死傷罪の適用を巡っては、捜査段階でも賛否が割れていた。神奈川県警の執念の捜査もあり、横浜地検は同罪での起訴を決断。判決に主張が追認された形となり、県警の捜査関係者は胸をなで下ろした。

 捜査関係者によると、県警は事故翌日には被告のあおり運転や停車後の暴力行為の概要を把握。「当初から罰則の重い危険運転致死傷罪を目指した」が、立証に向けた捜査は時間との闘いだった。

 ドライブレコーダーは走行距離に応じて映像記録が上書きされる上、目撃者の記憶も薄れる。料金所の防犯カメラなどから早急に事故前後の通過車両を割り出し、最終的に捜査対象となった車両は約260台に上った。被告の車両のカーナビ記録から、あおり運転の詳細もあぶり出した。

 逮捕時こそ適用容疑は過失運転致死傷にとどまったが、調整の結果、横浜地検は危険運転致死傷罪での起訴に踏み切った。地検の捜査関係者は「本件では警察の熱心な捜査によって、危険運転の態様が解明できた」と理由を語った。

 「われわれの努力が報われたと感じた」-。起訴時の思いをそう振り返るだけに、公判の行方には県警の捜査員も気をもんできた。判決を受け、捜査関係者は「遺族の無念さを考えれば当然の結果。われわれとしてはあおり運転を減らすための努力を続けることに変わりはない」と語った。

横浜地裁

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