6年前の2012年ドラフト、セ各球団の成果は? 広島鈴木&巨人菅野が入団、中日は厳し

巨人・菅野智之【写真:Getty Images】

巨人は1位で菅野が入団も、2位以下の6選手はチームを去る

 12月半ばに差し掛かり、2018年もあとわずかとなった。ソフトバンクが2年連続で日本一に輝いたプロ野球界もすっかりシーズンオフとなり、話題はストーブリーグが中心に。各球団の契約更改も進み、FA権を行使した選手たちの去就も全て決定。新助っ人の補強も、続々と発表されてきている。

 そして、今秋のドラフト会議で指名された各球団期待のルーキーたちも正式に契約を締結。各球団で新入団選手発表会も行われており、お披露目されている。中日に入団した根尾昂内野手やロッテの藤原恭大外野手、広島の小園海斗内野手、日本ハムの吉田輝星投手、西武の松本航投手、ソフトバンクの甲斐野央投手らが注目を集める中で、来季、一体どの選手が輝きを放つのか、楽しみだ。

 ルーキーたちがいきなり1年目から活躍するのは、なかなか至難の技である。昨年のドラフトで指名された今季のルーキーたちも然り。清宮幸太郎内野手が大きな注目を集めた中で、大きく活躍したのはDeNAの東克樹投手ら、一握りの選手だけだった。

 ドラフトの成果は5年、10年経ってみないと分からないと言われるもの。では、5年前から10年前の各球団のドラフトが、今季どのように成果として発揮されたか、1年ずつ検証していってみよう。今回は6年前、2012年のドラフト【セ・リーグ編】だ。

【巨人】
1 菅野智之投手 28試合15勝8敗0H0S 2.14
2 大累進内野手(→日本ハム、2018戦力外)
3 辻東倫内野手(2018戦力外) 8試合10打数1安0本0点 .100
4 公文克彦投手(→日本ハム) 57試合2勝0敗11H0S 2.17
5 坂口真規内野手(2017戦力外)
育1 田原啓吾投手(2016戦力外)
育2 松富倫内野手(2013戦力外→ソフトバンク育成、2014戦力外)

【中日】
1 福谷浩司投手 29試合0勝1敗0S4H 5.00
2 濱田達郎投手(2016戦力外→育成)1軍出場なし
3 古本武尊外野手(2017戦力外)
4 杉山翔大捕手 1軍出場なし
5 溝脇隼人内野手 1軍出場なし
6 井上公志投手(2014戦力外)
7 若松駿太投手(2018戦力外)

【ヤクルト】
× 藤浪晋太郎投手
1 石山泰稚投手 71試合3勝2敗35S7H 2.08
2 小川泰弘投手 18試合8勝5敗0S0H 2.75
3 田川賢吾投手 1試合0勝0敗0S0H 0.00
4 江村将也投手(2015戦力外)
5 星野雄大捕手(2017戦力外)
6 谷内亮太内野手 36試合45打数10安0本7点 .222(→日本ハム) 
7 大場達也投手(2015戦力外)

【広島】
× 森雄大投手
× 増田達至投手
1 高橋大樹外野手 6試合15打数5安0本0点 .333
2 鈴木誠也内野手 124試合422打数135安30本94点 .320
3 上本崇司内野手 59試合11打数1安0本0点 .091
4 下水流昂外野手 67試合80打数21安4本12点 .263
5 美間優槻内野手(→ソフトバンク)30試合36打数5安0本1点 .139
育1 辻空投手(2018戦力外)1軍出場なし
育2 森下宗外野手(2015戦力外)

広島は支配下で指名した5選手全員が1軍でプレー

【阪神】
1 藤浪晋太郎投手 13試合5勝3敗0H0S 5.32
2 北條史也内野手 62試合239打数77安1本20点 .322
3 田面巧二郎投手(2017戦力外)
4 小豆畑眞也捕手(2018戦力外)1軍出場なし
5 金田和之投手(→オリックス) 10試合0勝0敗0S0H 7.30
6 緒方凌介外野手(2018戦力外)1軍出場なし

【DeNA】
1 白崎浩之内野手(→オリックス) 30試合67打数16安1本9点 .239
2 三嶋一輝投手 60試合7勝2敗0S15H 3.97
3 井納翔一投手 24試合6勝3敗1S8H 3.54
4 赤堀大智外野手(2015戦力外)
5 阿部建輝投手(2016戦力外)
6 宮崎敏郎内野手 142試合551打数175安28本71点 .318
育1 今井金太投手(2015戦力外)

 指名から6年が経ち、各球団に戦力外となった選手がいる中で、唯一、支配下で指名された全選手がまだ生き残っているのが、今季セ・リーグ3連覇を果たした広島だ。1番の出世頭は、チームの4番、球界を代表する強打者となった鈴木誠也。2012年のドラフト2位で指名されている。

 上本と下水流はレギュラー定着こそ出来ていないものの、貴重なバイプレーヤーとしてチームに貢献し、高橋大はファームで10本塁打を放ち期待されている。美間はソフトバンクにトレードとなったが、他5球団を見渡しても、大きな成果を上げていると言えるだろう。

 巨人はドラフト1位で入団した菅野が、球界を代表するエースへと成長。だが、2位の大累と4位の公文は日本ハムへトレードで移籍し、大累は今オフに戦力外に。3位の辻もこのオフに戦力外となり、巨人の2012年指名組は菅野を残して、残り全員がチームを去った。

 ヤクルトは1位で今季守護神として活躍した石山、2位で先発の柱である小川が入団。7選手中3選手が戦力外となっているものの、上々の成果を上げている。DeNAは1位の白崎がトレードでオリックスへ移籍したものの、2位の三嶋、3位の井納は1軍の戦力に。そして、何よりも、6位で入団した宮崎だ。昨季の首位打者で、今季も2年連続3割となる.313をマークした。

 阪神は4球団競合の藤浪を引き当てた。ここ3年は不調に悩まされているものの、プロ入りから3年連続2桁勝利をマークしており実績は十分。2位の北條も2016年に122試合に出場。ただ、その後、殻を破りきれず、遊撃の定位置を争っている。3位以下はオリックスに移籍した
金田を除き、戦力外となった。

 6年が経過し、セ・リーグ6球団で最も厳しい結果となっているのが、中日か。1位の福谷は2年目の2014年に72試合に投げて大活躍を収めたが、その後、成績は下降。今季も29試合で防御率5.00に終わった。2位の濱田は育成選手になり、3位の古本、6位の井上は戦力外に。7位の若松は2015年に10勝を挙げたが、今オフに戦力外となった。4位の杉山、5位の溝脇も1軍の戦力となれていない。

 2012年の検証でもそうだったが、やはり5年超を経過したドラフトの成果が、ある程度、順位に影響を及ぼしている。チームの中心選手となる選手を指名、そして育成できているチームが上位を競っている。(Full-Count編集部)

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