悪質タックルで負傷の奥野がMVP「自分一人では立ち直れなかった」 アメフット学生日本一

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ミルズ杯と甲子園ボウル最優秀選手のトロフィーを掲げて仲間と喜ぶ奥野耕世選手(中央)=甲子園球場(撮影・中西大二)

 騒動の渦中からはい上がり、学生界の頂点にたどり着いた。アメリカンフットボールの甲子園ボウルで16日、関西学院大を王座奪還に導き、最優秀選手に輝いたクオーターバック(QB)奥野耕世選手。今春、日本大の悪質タックルで負傷しながらも立ち直り、司令塔として活躍した。「波瀾万丈の1年で、自分一人では精神的に立ち直れなかった。周りに感謝したい」とこみ上げる思いを語った。

 5月、日大との定期戦。パスを投げた後の無防備な状態で背後から相手に倒され、腰などに全治3週間のけがを負った。だが、困難を力に変えた。体に負担がかからないよう、腕を後ろに引かずコンパクトに投球するすべを身に付け、素早いパスを可能に。秋の関西学生リーグでは最優秀選手に選ばれるまでに力を伸ばした。

 この日は2年生ながらエースQBとして先発し、自身初の舞台で強心臓ぶりを発揮。相手の作戦や空間をいち早く察知し、矢のようなパスを幾度も通して149ヤードを稼いだ。パスが駄目ならフェイントを織り交ぜ、ランも敢行。完勝の原動力になった。

 社会的な関心事に巻き込まれ、つらかった日々を振り返る。「チームメートが普段通りに接してくれて。とても世話になった」と奥野選手。仲間の気遣いが何よりもうれしかった。「今度は、自分が周りを助けられる人になりたい」。曲折を経た20歳は、たくましく成長した。(宮崎真彦、藤村有希子)