社説(12/17):防災・減災 災害ごみへの備え/被災地こそ率先し対策を

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 ひとたび災害が起きれば膨大な廃棄物、災害ごみが発生する。その処理こそが復旧復興の第一歩であることを東日本大震災を通じて私たちは身近に経験し、広く共有した。しかし、肝心の足元で備えは頼りない状況にある。

 東北管区行政評価局が東北6県の全227市町村を対象にことし実施した調査で、災害廃棄物処理計画の策定を済ませた自治体がわずか18、全体の約8%にとどまっている実態が明らかになった。

 本年度内に策定率60%を目指す国の方針はなかなか浸透せず、遅れは全国的な課題だが、それでも2017年に24%まで策定が進んだ。三重県のように全29市町が策定を終了したところもある。

 復興に手いっぱいで作業が追いつかない事情もあろうが、被災が軽微だった内陸自治体も含めて1割弱という数字はあまりにお粗末だろう。

 計画策定に至らなくても、災害ごみの仮置き場を決めておいたり、収集や運搬の業界と協定を結んだりしておけば急場はしのげる。調査によると、仮置き場を選定済みの自治体も2割、協定の活用や締結を進めた自治体も半分以下だった。とりあえずの緊急対策にも多くが着手していない厳しい現状が浮かんだ。

 地震や津波だけでなく豪雨災害も各地で相次ぐ中、このような頼りない備えで混乱を回避できるのか。早急に点検とてこ入れが必要だ。

 未着手の理由として「職員や時間が足りない」「廃棄物の発生量が推計できない」などが挙げられた。専門知識やノウハウもない中で二の足を踏んでいる様子が分かる。

 評価局が改善を求めたように、環境省と出先機関は指導や研修に力を入れてほしい。

 国とは別に、例えば秋田県は計画策定マニュアルの提供や研修に踏み込み、来年度末には全自治体策定完了を見込めるまでになったという。県の後押しもまた必須になる。

 西日本豪雨では宮城県の震災対応時のがれき処理のノウハウが役に立った。災害ごみ搬入時の分別を実践した東松島市には、全国から視察が相次いでいる。身近に経験と教訓があるだけに、それを共有して生かさない手はない。

 東北こそは率先の備えを進め、全国に発信する立場にあることを再確認したい。

 実際に大災害となれば自治体や県域を越えた対応が求められる。各県が想定する県内最大規模の災害が起きた場合、災害ごみの発生量が最も少ない山形盆地断層帯地震のケースであっても、県内だけで焼却と埋め立て両方に完全には対応できないとされる。

 東北でもブロック単位の広域連携体制はあるものの、現実的には国の関与が不可欠になる。ごみ処理は自治体施策と位置付けられるが、非常時の対応は次元が異なる。十分な予算措置をはじめ、制度的に国の関与をより強化する方向性も考慮すべきだろう。