先週末に決まった与党の2019年度税制改正大綱は、日本鉄鋼連盟が重点項目として要望していた「償却資産に対する固定資産税の廃止・縮減」について、全く触れなかった。15年度大綱までは「検討課題」に盛り込まれていたが、16年度大綱で検討課題から外れ、18年度大綱では「制度を堅持する」と大幅に後退。今回の大綱では文言すら削られた形で、同税制見直しのハードルが高いことが改めて浮き彫りになった。
鉄鋼連盟が求めているのは、機械設備などの償却資産に対する固定資産税の廃止・縮減。機械設備に対する課税は海外でもほとんど例がなく、ものづくり企業の国際競争力を低下させる税制として廃止を求めてきた。16年度、17年度の税制改正では中小企業の一部設備を対象に軽減措置が設けられたが、多くの機械設備を持つ大企業は対象外で、税負担が続いている。関係者によると鉄鋼業界は同税制による税負担は年間数百億円に上る。
同税の税収は地方税に充てられるため、廃止・縮減は難しいとみられていた。ただ、新規の設備投資に対しても固定資産税がかかる現状は、政府の成長戦略に矛盾するとの声も多い。
一方、19年度大綱では、19年10月の消費増税を踏まえ需要変動を平準化する税制措置が盛り込まれた。鉄鋼連盟は「国内需要喚起のための関係諸税の適正化」を求めていたが、自動車についてはおおむね要望通りの内容となった。
鉄鋼連盟の要望項目ではこのほか、石油石炭税における原料用途免税の本則非課税化、企業年金税制の整備などが「検討課題」にとどまった。