2011年ドラフト、セ各球団の成果は? 過半数が戦力外、ヤクルトは全員が…

球界を代表する二塁手となった広島・菊池涼介【写真:荒川祐史】

中日は田島&高橋が戦力に、一方で育成含めて8選手を指名のヤクルトは…

 12月半ばに差し掛かり、2018年もあとわずかとなった。ソフトバンクが2年連続で日本一に輝いたプロ野球界もすっかりシーズンオフとなり、話題はストーブリーグが中心に。各球団の契約更改も進み、FA権を行使した選手たちの去就も全て決定。新助っ人の補強も、続々と発表されてきている。

 そして、今秋のドラフト会議で指名された各球団期待のルーキーたちも正式に契約を締結。各球団で新入団選手発表会も行われており、お披露目されている。中日に入団した根尾昂内野手やロッテの藤原恭大外野手、広島の小園海斗内野手、日本ハムの吉田輝星投手、西武の松本航投手、ソフトバンクの甲斐野央投手らが注目を集める中で、来季、一体どの選手が輝きを放つのか、楽しみだ。

 ただ、ルーキーたちがいきなり1年目から活躍するのは、なかなか至難の技。昨年のドラフトで指名された今季のルーキーたちも然り。清宮幸太郎内野手が大きな注目を集めた中で、大きく活躍したのはDeNAの東克樹投手ら、一握りの選手だけだった。

 ドラフトの成果は5年、10年経ってみないと分からないと言われるもの。では、5年前から10年前の各球団のドラフトが、今季どのように成果として発揮されたか、1年ずつ検証していってみよう。今回は7年前、2011年のドラフト【セ・リーグ編】だ。

【中日】
1 高橋周平内野手 128試合433打数110安11本69点 .254
2 西川健太郎投手(2016年戦力外)
3 田島慎二投手 30試合0勝4敗15S1H 7.22
4 辻孟彦投手(2014年戦力外)
5 川崎貴弘投手(2016年戦力外)
6 宋相勲投手(2014年戦力外)

【ヤクルト】
× 高橋周平
1 川上竜平外野手(2016年戦力外)
2 木谷良平投手(2016年戦力外)
3 比屋根渉外野手(2018年戦力外)4試合2打数0安0本0点 .000
4 太田裕哉投手(2013年戦力外)
5 中根佑二投手(2015年戦力外)
6 古野正人投手(2018年戦力外)2試合1勝0敗0S0H 5.00
育1 徳山武陽投手(2017年戦力外)
育2 金伏ウーゴ投手(2015年戦力外→巨人、2016年戦力外)

【巨人】
× 菅野智之投手
1 松本竜也投手(2015年失格)
2 今村信貴投手 13試合6勝2敗0S0H 3.86
3 一岡竜司投手(→広島)59試合5勝6敗2S18H 2.88
4 高木京介投手 3試合0勝0敗0S0H 12.60
5 高橋洸内野手(2017年戦力外)
6 江柄子裕樹投手(2017年戦力外)
7 田原誠次投手 29試合2勝0敗0S1H 2.56
育1 森和樹投手(2014年戦力外)
育2 土田瑞起投手(2017年戦力外)
育3 柴田章吾投手(2014年戦力外)
育4 芳川庸捕手(2016年戦力外)
育5 雨宮敬投手(2014年戦力外)
育6 渡辺貴洋投手(2013年戦力外)

広島は1位野村&2位菊池、DeNAも桑原らを指名

【阪神】
1 伊藤隼太外野手 96試合150打数37安1本13点 .247
2 歳内宏明投手 1軍登板なし
3 西田直斗内野手(2018年戦力外)1軍出場なし
4 伊藤和雄投手 14試合0勝1敗0S0H 5.48
5 松田遼馬投手(→ソフトバンク)2試合0勝0敗0S0H 6.00
育1 廣神聖哉捕手(2012年戦力外)

【広島】
1 野村祐輔投手 20試合7勝6敗0S0H 4.22
2 菊池涼介内野手 139試合557打数130安13本60点 .233
3 戸田隆矢投手 7試合0勝0敗0S0H 5.19
4 土生翔平外野手(2018年戦力外)1軍出場なし
育1 富永一投手(2013年戦力外)
育2 中村真崇外野手(2013年戦力外)
育3 塚田晃平投手(2013年戦力外)
育4 三家和真外野手(2013年戦力外→2016年ロッテ)1軍出場なし

【DeNA】
× 藤岡貴裕投手
× 松本竜也投手
1 北方悠誠投手(2014戦力外→ソフトバンク、2015年戦力外)
2 高城俊人捕手 28試合66打数9安0本3点 .136(→オリックス)
3 渡辺雄貴内野手(2016年戦力外)
4 桑原将志内野手 127試合379打数99安9本26点 .261
5 乙坂智外野手 73試合397打数19安0本7点 .204
6 佐村トラヴィス幹久投手(2014戦力外→阪神、2016戦力外)
7 松井飛雄馬内野手 4試合7打数1安0本0点 .143
8 古村徹投手(2014年戦力外→今オフ再契約)
9 伊藤拓郎投手(2014年戦力外)
育1 冨田康祐投手(2014年戦力外)
育2 西森将司捕手 3試合3打数0安0本0点 .000

 巨人は1位の松本が失格処分となったが、2位の今村はローテの一角をカバーし6勝をマーク。来季の一層の活躍が期待される。広島へと移籍した一岡はリリーフとして重要な役割を果たしている。田原も中継ぎとしてまずまずの働き。支配下7選手、育成6選手の13選手中9選手が戦力外(松本は失格)となっているが、4選手が生き残っている。

 広島はドラフト1位の野村がローテの一角をきっちりと担い、2016年には最多勝利と最高勝率のタイトルを獲得。さらに2位の菊池は球界を代表する二塁手となった。4位の土生は今季で戦力外となったが、3位の戸田も1軍で登板しており、上々のドラフトだと言える。

 中日は3球団で競合した高橋がドラフト1位で入団。なかなか芽が出ずに雌伏の時が続いたが、今季は128試合に出場し、初の2桁本塁打となる11本塁打69打点を記録した。3位の田島は今季こそ不振だったが、ルーキーイヤーから中継ぎとして結果を残し、2017年には34セーブをマークしている。6選手中2選手が1軍の戦力となっており、まずまずの成果か。

 阪神はドラフト1位が伊藤隼。外野手のレギュラー候補として期待されたが、定位置を確保するには至らなかった。とはいえ、左の代打として今季はキャリア最多の96試合に出場し、高かった期待値には届かないものの、1軍の戦力となっている。支配下で戦力外となったのは、今季の西田直斗のみ。歳内、伊藤和、ソフトバンクに移籍した松田遼とプレーを続けている。

 DeNAはこの年、大量9選手を指名。桑原は外野手の一角を担い、昨季は全試合に出場。高城(現オリックス)、乙坂、飛雄馬と今も現役でプレーしている。そして8位で入団した古村は2014年に戦力外となって退団。その後、四国ILの愛媛、BCリーグの富山を経て、今オフにDeNAと再契約に至った、珍しいキャリアを歩んだ。

 そして、ヤクルトはこの年に支配下6選手、育成2選手を指名したが、まさかの“全滅”。ドラフト1位の川上、2位の木谷は2016年に揃って戦力外となり、今季で比屋根渉と古野正人が戦力外。チームに残る選手はいなくなった。

 ドラフト指名から7年も経過すると、かなりの選手が戦力外となりチームから去っていることが分かる。セ・リーグでは支配下37選手、育成15選手が指名されたが、支配下で半数を超える20選手が、育成では実に13選手が戦力外を通告されている。今オフ、DeNAと再契約した古村や、広島からロッテに移った三家などは珍しいパターンだ。(Full-Count編集部)

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