“約束”が違う!? 韓国の史上最強助っ人投手「再契約すると伝えられたのに…」

韓国球界で通算102勝を誇るダスティン・ニッパート(写真はレンジャーズ時代)【写真:Getty Images】

韓国通算102勝を誇るニッパート、身体検査で問題なしも再契約ならず…

 KBOの助っ人として史上最多の勝利数を誇るダスティン・ニッパート投手が、シーズン後に“約束”どおりに再契約しなかった韓国球団に不満を漏らしている。米紙「ニューヨーク・タイムズ」と連携し、韓国で英字新聞を発行している「Korea Joongang Daily」が伝えている。

 ニッパートは2005年にメジャーデビューし、ダイヤモンドバックス、レンジャーズでプレー。レンジャーズでは2010年に38試合に登板(2先発)し、4勝5敗5ホールド、防御率4.29の成績で地区優勝に貢献。シーズン終了後にFAとなり、2011年1月に斗山ベアーズと契約した。

 斗山では2016年に22勝(3敗)で最多勝を記録するなど、7シーズンで6度の2桁勝利をマークしてきた。通算94勝(43敗)を誇り、今季はKTウィズに移籍。29試合登板(28先発)で8勝8敗、防御率4.25の成績だった。通算102勝は韓国プロ野球での助っ人投手の最多記録となっている。

 ただ、来季の契約は現時点で決まっていないという。「ダスティン・ニッパートはとにかく野球をプレーしたいと思っている」とのタイトルがつけられた記事では、「KBOで8シーズンプレーしたダスティン・ニッパートは、球界(KBO)でもう1年、彼にプレーするチャンスを与えてくれる球団を探しているところである」と現状を紹介。韓国での8年間のキャリアは「輝かしい功績」と記しつつ、来季の契約を希望する球団がないと伝えている。

「MRIを受けて問題も見つからなかったのに、彼らは僕と再契約をしなかった」

 さらに、ニッパートがKTの対応に不満を示しているとも指摘。本人は同紙のインタビューに対して、球団との交渉の経緯についても明かしている。

「理解できないよ。シーズン終了時に、KT(ウィズ)とスカウトを交えて面談したんだ。僕がMRIを受けて問題無かったら、再契約をすると伝えられたけど、実際にMRIを受けて問題も見つからなかったのに、彼らは僕と再契約をしなかったんだ。不満だったよ。年齢も上がっていく。球団が求める検査ならなんだって受けるよ。身体検査もMRIもパスすることに、何の心配もしていないよ」

 精密検査で何も問題がなかったにもかかわらず、来季の契約がないという現状は右腕にとって想定外だったようだ。

 一時、210万ドル(約2億3800万円)まで跳ね上がった年俸も、今季は100万ドル(約1億1350万円)まで下がっていたという。減俸の原因は37歳という「年齢」だと同紙は指摘。ただ、ニッパート本人は体の状態に自信を持っており、記事の中で「もし昨シーズン体にかなりの痛みが出て、何試合も欠場することになっていたら、引退のタイミングだっただろうね。シーズン中は先発を1度回避しただけだと思うけど、それは疲労が理由だったんだ。怪我していたわけではないよ。フィジカルの面は万全だよ。受けてきた全ての検査が証明するようにね」と話している。

 同紙によると、KBOは現時点で斗山を除く全球団の外国人枠が埋まっており、ニッパートが韓国で現役を続けるには、古巣復帰しか道はないという。ただ、現状は厳しい状況となっており、「彼にとってのベストな手立ては、他の外国人投手が自由契約となった場合に来シーズン中に復帰を果たすことなのかもしれない」と結論づけている。韓国史上最強の助っ人投手は、無所属のまま来季の開幕を迎えることになるのだろうか。(Full-Count編集部)

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