栃木女児殺害 手紙の評価に問題 弁護団が上告趣意書 訴因追加は違反

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栃木小1女児殺害事件の上告趣意書を提出し、記者会見する一木明弁護士(左)=17日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ

2005年の栃木小1女児殺害事件で殺人などの罪に問われ、一、二審で無期懲役判決を受けた勝又拓哉被告(36)の弁護団は17日、上告趣意書を最高裁に提出した。二審判決で有力な証拠となった、別事件で勾留中に被告が母親に宛てた手紙の評価や、裁判員裁判後に殺害場所や日時の範囲を広げた予備的訴因の追加を認めたことなどに、事実誤認や法令違反があるとして、改めて判決破棄と無罪を求めた。都内で弁護団が記者会見し、上告理由を明らかにした。

16年4月の一審宇都宮地裁の裁判員裁判判決は、取り調べの録音・録画(可視化)の内容などから自白と客観証拠の信用性を認めた。だが、8月の二審東京高裁判決は、可視化の内容で直接的に犯罪を認定したのは違法として一審判決を破棄した。

その上で、二審は被告が母親に「自分で引き起こした事件」「ごめんなさい」などと書いた手紙から殺人を謝罪したと理解できるなど、状況証拠から有罪が認められるとして、再び無期懲役判決を言い渡した。

上告趣意書は120ページ。母親宛ての手紙について、弁護団は、高裁判決が殺人を謝罪する内容だとして自白と同じように扱ったのは証拠の評価に重大な法令違反があると指摘した。

鹿島秀樹弁護士は「少ない証拠に必要以上に価値を認めたことでトリッキーな(論理)構成になっている。いろいろな問題があり、無理した判決になっている」と見解を述べた。

弁護団は、予備的訴因の追加についても、起訴内容の重要な部分が変わったとして「一審の裁判員裁判に差し戻すなどの措置が必要」と指摘。「一審は予備的訴因を審理しておらず、高裁がそのまま判決を言い渡すことは裁判員制度の趣旨を無視し、憲法違反に当たる」と主張した。

弁護団は、勝又被告が弁護団の上告趣意書とは別に、「犯人ではない」などと数行記した上告趣意書を13日付で提出したことを明らかにした。

主任弁護人の一木明弁護士は「高裁判決の非論理的かつ直感的な部分を徹底的に分析した」と強調した。(高岡健作)

■弁護団の主な上告理由
・別事件で勾留中に被告が母親に宛てた手紙について、殺人を謝罪する内容として一審が自白同様に扱ったのは問題
・控訴審になって、殺害日時や場所の範囲を広げる予備的訴因の追加を認めたのは裁判員制度の趣旨を無視している

★栃木小1女児殺害事件
2005年12月1日、栃木県今市市(現日光市)で、市立大沢小1年、吉田有希ちゃん=当時(7)=が下校中に行方不明となり、翌2日に約60キロ離れた常陸大宮市の山林で遺体で見つかった。栃木、茨城両県警は14年6月、殺人容疑で勝又拓哉被告を逮捕した。捜査段階で殺害を認めたが、その後「うその自白をさせられた」と否認に転じ、公判で無罪を主張した。