医療費抑制へ抜本的改革を 法政大 小黒教授が講演

 長崎新聞政経懇話会12月例会が17日、長崎市茂里町の長崎新聞文化ホール・アストピアであり、法政大経済学部教授の小黒一正氏が「わが国のマクロ経済の現状と財政を巡る課題-2019年の消費増税以降を見据えて-」と題して講演した。医療や介護、年金などにかかる社会保障給付費の抑制が課題とし、「医療費の膨張を抑えるために制度の抜本的な改革が必要」と述べた。
 小黒氏は、高齢者数がピークに近づく2040年度の社会保障給付費は約190兆円に上り、本年度の約121兆円と比べて約70兆円伸びると指摘。国内総生産(GDP)に占める割合で見ても、40年度には24%に達するとし、来年10月の消費税率10%への引き上げでは足りないとした。
 全てを賄うには、財政赤字の解消分を合わせて「消費税率を30%まで引き上げることが必要」とし、「増税だけでは限界がある」と指摘。問題の解消に向けたアイデアとして、医療費の自己負担を現在の年齢別から負担能力別にするなどの仕組みの導入が有効と話した。
 佐世保会場は18日午前11時半から、佐世保市栄町の佐世保玉屋8階文化ホールで開く。

小黒一正氏が講演した長崎新聞政経懇話会12月例会=長崎新聞文化ホール・アストピア

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