日立金属、アルミホイール撤退 「光生」に米子会社譲渡、20年秋に国内出荷終了

 日立金属は17日、自動車用アルミホイール事業から撤退すると発表した。米国会社(AAPセントメリーズ)を2019年3月1日付で光生アルミニューム工業グループに譲渡し、国内拠点の生産・出荷は20年9月末をめどに完全に終了する。同事業の収益性は16年度から悪化し、生産性改善など業績回復に努めたが、事業継続には今後も大規模な経営資源の投入が必要で、選択と集中の方針の下、撤退を決めた。AAP株式売却に伴い、18年4~12月期連結決算で約30億円の損失を計上する見込み。20年3月期以降に計上する国内拠点の撤退費用は未定。

 同事業の連結売上高は300億~400億円で推移し、技術的難易度の高まりに伴う生産性の低下や需要減少により、調整後営業利益は16年度以降赤字が継続していた。日立金属子会社で鉄鋳物世界最大手のワウパカのモノづくりマネジメントをAAPに導入するなど、事業体制の変更や生産性改善施策により業績回復に努め、赤字幅は縮小している。ただ今後の他事業とのシナジー、コア事業への経営資源の配分などを検討し、同事業からの撤退を決めた。

 AAP株式はアルミホイール大手の光生アルミニューム工業グループに全株譲渡する。国内では熊谷工場でアルミホイールを生産しているが、現在の取り扱い製品について顧客と協議の上、生産・出荷を順次停止し、20年9月末をめどに完全に終了する。

 熊谷工場でアルミホイール生産に携わる従業員は約350人。生産・出荷終了の進ちょくに合わせて原則、グループ内で配置転換を行う。雇用を維持するとともにコア事業や成長事業に人材を投入していく。この件による今期業績予想修正は行わない。

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