DOWAエコシステム、使用済みリチウム電池の再資源化ライン稼働へ 月間処理100トン、効率・省エネ化

 DOWAホールディングスは17日、子会社のDOWAエコシステムが、無害化処理後の使用済みリチウムイオン電池(LIB)を破砕・自動選別する再資源化ラインを新設し、2019年1月から稼働すると発表した。廃電池の受入拡大を図るため、エコシステム秋田(秋田県大館市)の近隣に新設備を導入した。従来よりもリサイクルの効率化や省エネルギー化が図れる。月間処理能力は約100トン。

 今後は廃電池発生量の増加やリサイクル需要の高まりなどに対応し、処理能力の拡大やニッケルとコバルトの個別分離など回収金属の高付加価値化も検討していく考え。今回稼働させる再資源化ラインは、熱処理による無害化処理後の廃LIBや工程スクラップを破砕し、鉄、アルミ、銅、コバルト・ニッケル混合物などに自動で分離するもの。これまで同社では、DOWAグループが保有する複数の大型焼却炉で廃電池を熱処理した後、鉄と鉄以外の金属混合物に分け、金属混合物は同じくDOWAグループのメルテックで溶融し、建設資材用の人工骨材と製錬向けの原料(溶融メタル)にリサイクルしてきた。

 これに対し、新たなリサイクルフローでは、熱処理後の溶融工程が不要となるとともに、溶融メタルを製錬所で元素別に分離する必要がなくなるため、リサイクルの高効率化とエネルギーコストの低減が図れる。

 LIBは電化製品や自動車、住宅向けで普及が拡大しているが、廃棄・解体時に感電や発火などの危険性があること、金属価格の変動によって回収した製錬原料の価値が左右されることなどから安全で効率的な回収・リサイクル体制の整備が求められている。DOWAエコシステムは、10月から日本自動車工業会が立ち上げたLIBの共同回収スキームに参画しており、電池リサイクル施設としてDOWAグループのエコシステム秋田およびエコシステム山陽(岡山県)が登録されている。今後も廃LIBの安全な処理と効率的な金属リサイクルを行い、積極的に受入量の拡大を図る考え。

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