ポジティブ・ペアレンティング・サークル 子育ての悩み明るく解決 / ポジティブ心理学を応用

11月末、クイーンズ区フォレストヒルズで、育児の悩みなどを話し合う「ポジティブ・ペアレンティング・サークル」の月例会が開かれた。産後1ヵ月から大学生と、幅広い年齢の子を持つ母親たち約10人。

11月末に開かれた「ポジティブ・ペアレンティング・サークル」。絶え間なく笑い声に包まれる

会はポジティブ心理学を子育てに応用し、行き詰まった時などに役立ててもらうのが狙いだ。その手法を講座で学んだファシリテーターが会を進行する。この日の進行役は横山幸代さん。「まず、最近あった良かったことを話しましょう。何でもいいです」。良いことを打ち明けると気持ちが開放的になるという心理学の理論を早速用いて、参加者の緊張をほぐしていく。個人宅が会場で、靴を脱いで椅子に座り、和やかな雰囲気で会話が弾む。

初参加者が多い場合などは自己紹介をし、そこまでが定番の流れとなっている。テーマは毎回変わり、今回は「共感のスキル」。幸代さんは「思ったことは何でも言ってください。質より量を歓迎します」と促す。批判は禁止で、間違いを恐れぬ姿勢や意見の多様性を尊重している。

この日は「共感」をテーマに参加者が日常の親子のやり取りを再現

「では、なぜ共感は子育てにとって大事か考えてみましょう」と言われると、参加者はしばし黙考。数分後、「『味方がいてくれるんだ』と子供が安心するから」、「自信につながるから」、「納得して次の行動につながるから」など思い思いに答えていった。

次に「共感と同感、同意はそれぞれ違います」と微妙なニュアンスの違いを説明し、2、3人で1組となってロールプレイングに入る。子供が公園の帰り道に泣き出したり、きょうだいげんかをしたりといった具体的な場面とセリフを設定し、「その時、子供はどんな気持ちだったでしょう? 推測して共感してみましょう」と促す。その後も参加者が親子になりきって日常の会話で共感と否定を再現し、その時に生じる感情を比べるなどした。参加者は皆、他人の子育て事情に「へえ」と参考にしたり、感心したりとさまざまだが、一様に笑い声が絶えない。

進行役となる(左から)幸代さん、里奈さん、陽子さん 幸せに生きることを追究する「ポジティブ心理学」を子育てに応用し、より良い親子関係や育児に役立ててもらうのがサークルの目的です。お子さま連れも、男性も歓迎です。ニューヨークライフバランス研究所の認定講座を修了したファシリテーターが、学習内容をシェアします。なお、研究所代表の松村亜里によるポジティブ心理学の日本語クラスも別途開講しています。

会は約2時間続き、最後は幸代さんが「共感により親子関係が深まり、子供の自尊心も育ちます」とまとめると、皆熱心に書き留めていた。6歳の長女を持つクイーンズ区在住の小林理奈子さんは6回目の参加で「ニューヨークはいろいろな人がいて、子育ての考え方もさまざまで、当初は気持ちを打ち明けられず孤独を感じていました。そんな時に参加し、同じような環境で苦労している人がいると分かって安心感を覚えました」と満足そう。

同区から初参加の南綾乃さんは来米3年目。長女が8歳で「今回興味深いテーマだと思って来てみました。すごく面白くて知らないことがたくさんでした。今後、生かせる場面もありそうです」と笑った。

進行役の1人、島陽子さんは「子育て中のママは孤独になりがちで、異国だと友達も少ない人が多いです。会では愚痴り合って終わりではなく、『こうしたらいいんじゃない』とお互いにサポートもできます。お気軽にご参加ください」。

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